子供に「胸が痛い」と言われると、「心臓の病気かもしれない」と、親としてはとても心配になると思います。
しかし、一般的には、子どもの胸の痛みの多くは深刻な病気によるものではないことが多いですので、過剰に心配する必要はありません。
こちらの記事では、子供で胸が痛い原因や病気の可能性、対処方法について解説していきます。
子供の胸が痛いのはなぜ?原因とは?
子どもの胸の痛みの多くは命にかかわるような重い病気によるものではないとはいえ、親としてはやはり心配だと思います。
どのような原因があるのかを知っておくことは、適切な対応のためにもとても大切ですので、ここでは、子どもの胸の痛みの原因を5つのタイプに分けて、わかりやすく解説します。
筋肉や骨の痛み
もっともよく見られる原因です。活発に遊んだり、運動をしたりした後に、胸の筋肉や肋骨の周囲に痛みが出ることがあります。
特に「肋軟骨炎(ろくなんこつえん)」と呼ばれる状態では、肋骨と胸骨のつなぎ目あたりに痛みを感じることが多いです。深呼吸や押すと痛みが強くなるのが特徴です。
呼吸器系の問題
風邪や咳が長引いていると、胸に痛みを感じることがあります。例えば、咳が強く続くことで胸の筋肉が痛んだり、気管支炎や肺炎などが原因で胸痛が生じることもあります。
呼吸に伴って痛みが出る、または息苦しさを伴う場合は、呼吸器の関与が考えられます。
心臓に関連する問題
子どもでは比較的まれですが、心臓の病気が原因で胸が痛くなることもあります。先天性心疾患、心筋炎、心膜炎などが考えられます。この場合、運動中に痛みが出る、息切れがある、失神するなどの症状が一緒にみられることがあるため、注意が必要です。
ただ、やはり一般的には子供の胸の痛みの原因が心疾患である可能性は非常に低いですので、心疾患を心配する必要はそれ程ないように思います。
消化器の不調
胃酸の逆流(逆流性食道炎)や食べすぎ・飲みすぎによっても胸に痛みを感じることがあります。
特に食後や夜間に痛みが出やすく、胸焼けやげっぷを伴うことが多いです。
心因性(ストレスや不安によるもの)
子どももストレスや緊張、不安などによって胸の痛みを訴えることがあります。特に学校や家庭でのストレスが大きいと、身体的な症状として「胸が苦しい」「痛い」と感じることがあるのです。
身体には異常がないのに痛みがある場合、このような心理的要因が関係していることもあります。
子供の胸が痛い場合の対処法とは?
子どもが胸の痛みを訴えたとき、親がどのように対応すればよいかは非常に大切です。
以下に、主な対処法を3つに分けて、それぞれわかりやすく解説します。
まずは落ち着いて症状を確認する
子どもが「胸が痛い」と言っても、すぐに重病だと心配しすぎる必要はありません。まずは落ち着いて、痛みの様子を確認しましょう。
痛みがどこにあるのか、いつから続いているのか、運動の後に始まったのか、押すと痛いかどうか、息苦しさや咳・発熱があるかなどを観察することが大切です。
子どもの表情や行動から、強い痛みか軽い違和感かを見極める手がかりにもなります。また、症状をメモしておくと、病院を受診する際に医師への説明がスムーズになります。
安静にして様子をみる
筋肉や骨が原因の胸の痛み(肋軟骨炎や筋肉痛など)の場合、多くは安静にすることで自然に回復します。運動を一時的に控え、無理な体の動きを避けるようにしましょう。
また、咳や風邪が原因と思われる場合も、安静と十分な休養が回復への第一歩です。痛みが軽く、生活に支障がないようであれば、無理に薬を使わず、家庭で様子を見るのも選択肢の一つです。
ただし、痛みが長引いたり、夜も眠れないほど強い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
緊急受診が必要なサインを知る
胸の痛みがすべて軽いものとは限りません。次のような症状がある場合は、すぐに病院を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。
- 胸の痛みが突然始まり非常に強い
- 呼吸が苦しくて話せない
- 顔色が青白くなる
- 意識がもうろうとする
- 運動中や直後に胸の痛みが起きた
このような場合、心臓や肺などの重篤な問題が隠れている可能性もあるため、自己判断せず医師の診察を受けましょう。
親が冷静に行動することが、子どもの命を守ることにつながりますので、心配だとは思いますが、落ち着いて対応することが重要です。
子供の胸が痛い場合に考えられる病気とは?
子どもの胸の痛みの原因としてよく見られる一般的な疾患を3つ挙げて、それぞれわかりやすく解説します。
肋軟骨炎(ろくなんこつえん)
肋骨と胸の中央にある胸骨をつなぐ「肋軟骨」という部分に炎症が起きる病気です。運動や咳、体をひねる動作のあとに痛みを感じることが多く、特に胸の一部を押すと痛むのが特徴です。
見た目には異常がないため驚きますが、命に関わる病気ではありません。安静にしていれば自然と回復することがほとんどです。
気管支炎
風邪などのウイルス感染が原因で、気道(空気の通り道)に炎症が起きる病気です。しつこい咳が続いたり、息を吸うとゼーゼー音がしたりすることがあります。
咳がひどくなると、胸の筋肉に負担がかかり、痛みを感じることもあります。適切な休養と治療で回復するため、早めの受診が安心です。
逆流性食道炎
胃の中の酸や食べ物が食道に逆流することで、胸のあたりに焼けるような痛みを感じる病気です。子どもでも、特に食べすぎたり、寝る前に間食をしたりすると起こることがあります。
胸が痛いというより「胸やけ」や「のどの違和感」が出現しますが、子供の場合これを胸の痛みと表現することが多いと考えます。食事のとり方や生活習慣を見直すことで改善することが多いです。
もしかしたら起立性調節障害かも
子供が胸の痛みを訴えた場合、もしかしたらそれは起立性調節障害による症状かもしれません。
起立性調整障害は自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、血圧や脈拍の調整がうまくいかず、体を起こしたときに脳への血流が不足しやすくなります。その結果、立ちくらみや、めまい、倦怠感、胸の違和感や息苦しさなど多様な症状を来す病気です。
胸の痛みは、激しい運動や病気によるものではなく、自律神経の不調による一時的な循環の乱れが関係していると考えられています。心臓に器質的な異常(病気)がないことも特徴の一つです。
胸の症状があり、その他にも体調不良が継続しているような場合は、起立性調節障害の可能性も考えられるので、一度セルフチェックをしてみてください。起立性調節障害のセルフチェックに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。