起立性調節障害とは

起立性調節障害は夕方から元気になるのはなぜ?夜型になる理由と夕方以降の過ごし方を解説

  • 「朝は起きられないのに、夕方になると元気になるのはなぜ?」
  • 「夕方から元気なのは甘えなの?夜はどう過ごせばいい?」

このような疑問やお悩みをお持ちの方も少なくないでしょう。

起立性調節障害の子どもは、朝や午前中に強い不調があっても、午後から夕方にかけて体調が回復し、夜には元気に過ごしていることが少なくありません。そのため、周囲から「学校に行きたくないだけでは」「甘えているのでは」と誤解されてしまうケースも見られます。

しかし、夕方から元気になるのは起立性調節障害の代表的な特徴の一つであり、体の仕組みによるものです。一方で、夕方以降の過ごし方によっては夜更かしにつながり、翌朝の症状を悪化させてしまうこともあります。

そこで、この記事では起立性調節障害で夕方から元気になる理由や、夕方に元気になることで起こりやすい悪循環、夕方以降の過ごし方のポイントを解説します。お子さんの体調の波を理解し、生活リズムを整えるヒントになるため、ぜひご一読ください。

起立性調節障害は夕方から元気になることが多い

起立性調節障害の症状には、1日の中で大きな波があるのが特徴です。まずは、起立性調節障害の1日の体調の変化について確認しておきましょう。

午前中に症状が強く、午後から夕方にかけて軽くなる

起立性調節障害の症状は、起床時から午前中にかけて強く、午後から夕方にかけて徐々に軽くなる傾向があります。

起立性調節障害は、自律神経の働きがうまくいかず、起立時に脳や体への血流が低下することで、立ちくらみ、めまい、頭痛、倦怠感、腹痛、朝起きられないなどの症状をきたす病気です。

朝は布団から起き上がれない、無理に起きても気分が悪くて動けないといった状態でも、お昼過ぎから少しずつ体が動くようになり、夕方には普段どおりに過ごせるようになる子どもも少なくありません。

このような1日の中での体調の波は「日内変動」と呼ばれ、起立性調節障害の診断の手がかりの一つにもなっています。

夜になると元気になりすぎることもある

起立性調節障害の子どもの中には、夕方から体調が回復するだけでなく、夜になると元気になりすぎて、なかなか寝付けなくなる子どももいます。

夜に頭がさえて眠れないため、ついスマホやゲーム、動画を見ながら夜更かしをしてしまい、寝る時間がどんどん遅くなってしまうケースも見られます。

このように、起立性調節障害では「朝はつらいのに夜は元気」という状態になりやすく、生活リズムが乱れやすい点にも注意が必要です。

起立性調節障害で夕方から元気になる理由

起立性調節障害で夕方から元気になるのは、本人の気持ちの問題ではなく、主に体の仕組みによるものと考えられています。

具体的には、下記のような理由が挙げられます。

交感神経が働き始めるタイミングが遅れている

起立性調節障害で夕方から元気になる理由として、交感神経が働き始めるタイミングが遅れている点が挙げられます。

自律神経には、体を活動モードにする交感神経と、休息モードにする副交感神経があります。通常は、朝起きる頃から交感神経の働きが高まり、血圧や心拍数を上げて、体を活動できる状態に整えています。

しかし、起立性調節障害では朝に交感神経がうまく働かず、立ち上がっても血圧を十分に保てないため、脳への血流が低下して立ちくらみやだるさなどの症状が現れます。

その後、時間の経過とともに交感神経の働きが徐々に高まり、午後から夕方にかけてようやく血圧や血流が安定してくるため、体が楽になり、活動できるようになると考えられています。

体内時計のリズムが後ろにずれている

起立性調節障害で夕方から元気になる理由として、体内時計のリズムが後ろにずれている点も挙げられます。

私たちの体には、約24時間周期で睡眠や体温、ホルモンの分泌などを調整する体内時計が備わっています。起立性調節障害の子どもでは、この体内時計のリズムが後ろ(夜型)にずれている傾向があるといわれています。

体内時計が後ろにずれると、本来活動を始めるべき朝の時間帯に体が目覚めきらず、反対に本来休むべき夜の時間帯に体が活動モードになりやすくなります。その結果、「朝は動けないのに夜は元気」という状態が生じやすくなるのです。

また、思春期はもともと体内時計が夜型になりやすい時期であるため、起立性調節障害の症状と重なって、夜型の傾向がより強く現れることがあります。

学校などのプレッシャーから解放される

起立性調節障害で夕方から元気になる理由として、学校などのプレッシャーから解放される点も挙げられます。

起立性調節障害の子どもは、「今日も学校に行けなかった」「勉強が遅れている」といった不安や罪悪感を抱えていることが多いです。朝から日中にかけては登校や授業のことが気になりやすく、心理的な負担も大きくなります。

一方、夕方になると学校の時間が終わり、そうしたプレッシャーから解放されることで、気持ちが楽になることがあります。ストレスは自律神経の乱れを招くため、心理的な負担が軽くなることも、夕方に体調が良く感じられる一因と考えられます。

ただし、これは「気持ちの問題だから元気になる」という意味ではなく、あくまで体の仕組みによる日内変動に、心理的な要素が重なっていると理解することが大切です。

夕方に元気になるのは甘え?周囲に誤解されやすい理由

起立性調節障害の子どもが夕方から元気になる様子は、事情を知らない人から見ると誤解を招きやすいものです。ここでは、誤解されやすい理由と、正しい受け止め方について解説します。

「学校は休むのに夕方は遊べる」と見えてしまう

起立性調節障害の子どもが夕方から元気になると、「学校は休んだのに、夕方には友達と遊んでいる」「朝は起きられないのに、夜遅くまでゲームをしている」と見えてしまうことがあります。

そのため、家族や学校の先生、親戚などから「学校に行きたくないだけ」「甘えている」と受け止められ、本人が責められてしまうケースも少なくありません。

周囲の誤解によって本人が自分を責めたり、ストレスを抱えたりすると、自律神経の乱れが強まり、症状がさらに悪化する悪循環に陥る可能性があります。

夕方に元気なのは甘えや怠けではない

夕方から元気になるのは、甘えや怠けではなく、起立性調節障害という体の病気の特徴によるものです。

起立性調節障害の子どもは、朝に「起きたいのに起きられない」「学校に行きたいのに体が動かない」という状態にあることが多く、本人の意思だけでコントロールできるものではありません。夕方に元気に過ごせるのは、体調の波によって、ようやく体が動ける時間帯になったと考えると理解しやすいでしょう。

夕方に元気な姿を見たときは、「朝もこうなら良いのに」と責めるのではなく、「体調が良くなってきて良かったね」と受け止める姿勢が大切です。

夕方・夜に元気になることで起こりやすい悪循環

夕方から元気になること自体は問題ではありませんが、夕方以降の過ごし方によっては生活リズムが乱れ、翌朝の症状を悪化させてしまうことがあります。

具体的には、下記のような悪循環に注意が必要です。

夜更かしで翌朝さらに起きられなくなる

夕方・夜に元気になることで起こりやすい悪循環として、夜更かしで翌朝さらに起きられなくなる点が挙げられます。

夜に元気になって寝る時間が遅くなると、睡眠時間が短くなるうえ、体内時計がさらに後ろにずれてしまいます。その結果、翌朝はより起きるのがつらくなり、午前中の症状も強くなりやすくなります。

朝起きられない→午前中に動けない→夕方から元気になる→夜更かしをする→さらに朝起きられない、というサイクルが続くことで、症状が長引く原因になることもあります。

スマホやゲームの時間が長くなる

夕方・夜に元気になることで起こりやすい悪循環として、スマホやゲームの時間が長くなる点も挙げられます。

夜に目がさえて眠れないと、手持ち無沙汰からスマホやゲーム、動画を見て過ごす時間が増えがちです。スマホやパソコンの画面から出る光は、眠りを促すホルモン(メラトニン)の分泌を抑えるため、さらに寝付きが悪くなる原因になります。

また、ゲームや動画に夢中になることで脳が興奮し、交感神経が高ぶったまま眠りにつけなくなることもあります。スマホやゲームとの付き合い方については、下記の記事も参考にしてください。

昼夜逆転につながる

夕方・夜に元気になることで起こりやすい悪循環として、昼夜逆転につながる点も挙げられます。

夜更かしが続くと、寝る時間が深夜から明け方へとどんどん遅くなり、昼過ぎまで眠って夕方から活動する、という昼夜逆転の生活になってしまうことがあります。

昼夜逆転の状態が長く続くと、日中に太陽の光を浴びる機会が減り、体内時計がさらに乱れるだけでなく、学校への復帰もより難しくなります。早い段階から生活リズムを意識して整えることが大切です。

起立性調節障害でも夕方に体調が悪くなるケースもある

起立性調節障害は「夕方から元気になる」といわれることが多いですが、すべての子どもに当てはまるわけではありません。夕方になっても体調が回復しない、あるいは夕方に体調が悪化するケースもあります。

日中の疲れがたまっている

起立性調節障害でも夕方に体調が悪くなるケースとして、日中の疲れがたまっている場合が挙げられます。

起立性調節障害の子どもは、体を起こしているだけでも体力を消耗しやすい状態です。無理をして朝から学校に行った日や、長時間立っていた日などは、夕方になると疲れが一気に出て、だるさや頭痛が強くなることがあります。

「学校に行けたから塾も行けるはず」と考えがちですが、その日の疲れ具合を見て、夕方の予定を調整することも大切です。

天気や気圧、季節の影響を受けている

起立性調節障害でも夕方に体調が悪くなるケースとして、天気や気圧、季節の影響を受けている場合も挙げられます。

起立性調節障害の症状は、雨の日や台風が近づいているときなど、気圧が下がるタイミングで悪化しやすいといわれています。また、暑い季節は汗で水分が失われやすく、血液量が減ることで症状が出やすくなります。

そのため、普段は夕方に元気になる子どもでも、天気や季節によっては夕方まで体調が戻らないことがあります。

夕方になっても回復しない状態が続いている

起立性調節障害でも夕方に体調が悪くなるケースとして、夕方になっても回復しない状態が続いている場合も挙げられます。

起立性調節障害が重症の場合は、午後や夕方になっても症状が改善せず、1日中横になって過ごすことが多くなる場合もあります。また、時間帯に関係なく強いだるさや気分の落ち込みが続く場合は、起立性調節障害以外の病気が隠れている可能性も考えられます。

夕方になっても体調が回復しない日が続く場合は、自己判断せず、医療機関に相談しましょう。

起立性調節障害の子どもの夕方以降の過ごし方のポイント

夕方から夜にかけての過ごし方を工夫することで、生活リズムを整え、翌朝の症状を和らげることにつながります。

具体的には、下記のようなポイントを意識しましょう。

なお、すでに治療を受けている場合は、主治医の指示を優先してください。

体調の良い夕方に体を動かす

起立性調節障害の子どもの夕方以降の過ごし方として、体調の良い夕方に体を動かすことが挙げられます。

起立性調節障害では、横になっている時間が長くなると筋力が落ち、立ったときに下半身にたまった血液を心臓へ押し戻す力も弱くなるため、症状が悪化しやすくなります。

体調が回復してくる夕方は、散歩や軽いストレッチ、ウォーキングなど、無理のない範囲で体を動かす絶好のタイミングです。適度に体を動かすことで、夜に心地よい疲れを感じ、寝付きが良くなる効果も期待できます。ただし、寝る直前の激しい運動は交感神経を高ぶらせるため避けましょう。

夕方の時間を勉強や予定に活用する

起立性調節障害の子どもの夕方以降の過ごし方として、夕方の時間を勉強や予定に活用することも挙げられます。

午前中に集中できない分、体調が安定する夕方の時間帯は、勉強や習い事、通院など、頭や体を使う予定を入れるのに向いています。学校によっては、午後からの登校や放課後の補習、保健室での学習などに対応してもらえる場合もあるため、担任の先生に相談してみると良いでしょう。

ただし、夕方に予定を詰め込みすぎると夜まで活動が長引き、寝る時間が遅くなってしまいます。夕方の予定は、夜の就寝時間に影響しない範囲で計画することが大切です。

夕方以降の長い昼寝は避ける

起立性調節障害の子どもの夕方以降の過ごし方として、夕方以降の長い昼寝は避けることも大切です。

朝起きられなかった分、日中や夕方に眠くなることもありますが、夕方以降に長く眠ってしまうと夜に寝付けなくなり、夜更かしの原因になります。

どうしても眠い場合は、午後の早い時間帯に20〜30分程度の短い仮眠にとどめましょう。また、日中も横になりっぱなしで過ごすのではなく、座って過ごす時間を少しずつ増やすことも、起立性調節障害の改善につながります。

夜は強い光やスマホを控える

起立性調節障害の子どもの夕方以降の過ごし方として、夜は強い光やスマホを控えることも挙げられます。

夜に強い光を浴びると、眠りを促すメラトニンの分泌が抑えられ、体内時計がさらに後ろにずれてしまいます。夕食後は部屋の照明を少し暗めの暖色系にし、寝る1時間前にはスマホやゲーム、パソコンの使用を控えるようにしましょう。

スマホを一方的に取り上げると、親子関係の悪化やストレスにつながることもあるため、「夜〇時以降はリビングで充電する」など、お子さんと話し合いながらルールを決めるのがおすすめです。

入浴はぬるめのお湯で寝る1〜2時間前に

起立性調節障害の子どもの夕方以降の過ごし方として、入浴はぬるめのお湯で寝る1〜2時間前に済ませることも挙げられます。

入浴で一時的に上がった体温が下がっていくタイミングで眠気が訪れやすくなるため、寝る1〜2時間前の入浴は寝付きを良くするのに役立ちます。

ただし、熱いお湯での長湯は血管が広がって血圧が下がり、立ちくらみや気分不良を起こしやすくなります。38〜40度程度のぬるめのお湯で短時間にし、湯船から出るときはゆっくり立ち上がるよう注意しましょう。

寝る時間と起きる時間をなるべく一定にする

起立性調節障害の子どもの夕方以降の過ごし方として、寝る時間と起きる時間をなるべく一定にすることも重要です。

休日に昼過ぎまで寝ていたり、平日と休日で寝る時間が大きく異なったりすると、体内時計が乱れやすくなります。いきなり早寝早起きを目指すのではなく、まずは今の就寝・起床時間を毎日そろえ、そこから15〜30分ずつ少しずつ早めていくのが現実的です。

また、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。光を活用した対策については、下記の記事も参考にしてください。

夕方に元気な子どもに親ができる関わり方

起立性調節障害の子どもが夕方以降を穏やかに過ごし、生活リズムを整えていくためには、親御さんの関わり方も大切です。

夕方に元気な姿を責めない

夕方に元気な姿を見ると、「朝もこうなら学校に行けるのに」と感じてしまうこともあるでしょう。しかし、夕方の元気な姿を責めたり、朝の様子と比べたりすると、本人は「わかってもらえない」と感じ、ストレスや自己否定感を強めてしまいます。

夕方は、親子でゆっくり話をしたり、一緒に散歩や買い物に出かけたりと、前向きな時間として過ごすことがおすすめです。体調が良い時間帯にコミュニケーションをとることで、学校のことや体調について本人の気持ちを聞きやすくなります。

夜の過ごし方のルールを一緒に決める

夜更かしを防ぐためには、夜の過ごし方のルールを親子で一緒に決めることが効果的です。

親が一方的にルールを押し付けると反発を招きやすいため、「何時までに寝ると朝が少し楽になるか」「スマホは何時まで使うか」などを本人と話し合い、無理のない目標を決めましょう。

ルールを守れなかった日があっても責めすぎず、守れた日はしっかり認めてあげることで、本人のやる気を保ちやすくなります。

起立性調節障害と夕方に関するよくある質問

夕方から元気になるなら、午後から登校してもいいですか?

体調が回復してくる午後から登校することは、学校とのつながりを保つうえで有効な方法の一つです。遅刻や早退、保健室登校、別室登校など、学校によってさまざまな対応をしてもらえる場合があります。

午後からの登校を考えている場合は、起立性調節障害であることを担任の先生や養護教諭に伝え、無理のない登校方法を相談しましょう。医師の診断書や意見書があると、学校側の理解も得やすくなります。

夕方から元気になるのは、治りかけのサインですか?

夕方から元気になるのは、起立性調節障害の典型的な症状の現れ方であり、必ずしも治りかけのサインというわけではありません。

回復の目安としては、朝起きられる時間が少しずつ早くなる、午前中に動ける日が増える、立ちくらみなどの症状が軽くなるといった変化が挙げられます。回復には時間がかかることも多いため、焦らず少しずつの変化に目を向けましょう。

大人の起立性調節障害でも夕方から元気になりますか?

大人の起立性調節障害でも、午前中に症状が強く、午後から夕方にかけて軽くなる傾向が見られることがあります。ただし、子どもと比べると症状の現れ方には個人差が大きく、仕事のストレスや睡眠不足などの影響も受けやすいです。

大人の起立性調節障害については、下記の記事も参考にしてください。

起立性調節障害で夕方に元気になるのは体の特徴。夕方以降の過ごし方で生活リズムを整えよう

この記事では、起立性調節障害で夕方から元気になる理由や、夕方に元気になることで起こりやすい悪循環、夕方以降の過ごし方のポイントについて解説しました。

起立性調節障害の子どもが夕方から元気になるのは、交感神経が働き始めるタイミングの遅れや体内時計のずれなど、体の仕組みによるものです。決して甘えや怠けではないため、夕方の元気な姿を責めず、体調が良くなってきたことを前向きに受け止めましょう。

一方で、夕方以降の過ごし方によっては夜更かしや昼夜逆転につながり、翌朝の症状を悪化させてしまうことがあります。体調の良い夕方に体を動かす、夜は強い光やスマホを控える、寝る時間と起きる時間をそろえるなど、できることから少しずつ取り組んでみてください。

夕方になっても体調が回復しない日が続く場合や、生活リズムの乱れがなかなか改善しない場合は、本人や家庭だけで抱え込まず、医療機関に相談しましょう。

起立性調節障害の治し方や、家庭で親ができることについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

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