夜眠れないことで悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
夜なかなか寝付けない場合や、せっかく寝付けても途中で覚醒してしまう場合、身体が十分休息できず、翌日も頭がうまく働かないでしょう。
睡眠不足が長期間継続すると、朝起きるのが困難となり通勤や通学にも支障をきたすため、社会生活にも影響が出てしまいます。そこで、眠れない夜を繰り返す場合は病院を受診した方がよいでしょう。
眠れない症状が継続する場合、脳や上気道の病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。また、原因や症状によって受診すべき診療科も異なるため、早期対策のためにも事前に正しい知識を身に付けておくことが重要です。
本記事では、眠れない症状別に、受診すべき病院の診療科について紹介します。また、病院に行くべきタイミングや眠れないときの対処法についても解説します。本記事を参考に、心地よい快眠を手に入れましょう。
眠れない時は病院を受診したほうがいい?
結論から言えば、眠れない症状が継続する場合は病院の受診を勧めます。繰り返す不眠症状の背景には、重篤な疾患が隠れている可能性もあるためです。
緊張する仕事や楽しみなイベントの前日など、日常生活で夜眠れなくなることは少なくありませんが、このような理由での寝不足は翌日の夜に深い眠りにつけるため、寝不足もリセットされます。
しかし、眠れない日が何日も続き、眠りたくても眠れない場合はなんらかの病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
不眠症状に伴うストレスは持続的な交感神経の活性化を招き、高血圧や糖尿病などの生活習慣病やうつ病の原因にもなるため、繰り返す不眠症状を認める場合は早期に病院を受診した方がよいでしょう。
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【症状別】眠れない時は何科の病院を受診するべき?
眠れない時、いざ病院を受診しようと思っても、何科に受診すれば良いのか判断に迷う方も少なくありません。
症状が不眠のみであれば一般的な内科への受診でも問題ありませんが、不眠症状に加えて他の症状も認める場合は、不眠の原因となる病気が隠れている可能性もあります。
原因となる病気によっては受診すべき診療科も異なり、誤った診療科を受診すると対策も遅れてしまうため、症状に見合った適切な診療科を選択することが重要です。そこで、症状別に何科を受診すべきか解説します。病院に行く前にしっかりチェックしましょう。
いびき
不眠症状に加え、いびきをかきやすい人は呼吸器内科への受診を勧めます。
いびきは睡眠によって舌根の筋肉が弛緩し、上気道を圧迫することが原因です。いびきをかいているということは、それだけ空気の通り道が狭く睡眠中に取り込める酸素の量が減少し、脳は十分な休息を得られないため、睡眠途中で起きてしまう原因となります。
特に、睡眠中の呼吸が著しく制限されるか、もしくは完全に停止してしまう状態を睡眠時無呼吸症候群といい、さまざまな悪影響を及ぼす疾患のため注意が必要です。
睡眠の質の低下はもちろんのこと、持続的な低酸素によって体には大きなストレスがかかり、交感神経の持続的な亢進によって高血圧・糖尿病などの生活習慣病や、心筋梗塞・不整脈・脳血管障害などの致死的疾患の発症リスクが増加することが知られています。
特に、上気道が狭くなりやすい原因として肥満・小顎・巨舌・アデノイドなどの耳鼻科疾患などが挙げられるため、これらに当てはまる方は注意が必要です。狭くなった上気道をいかに広げるかが睡眠時無呼吸症候群の治療の鍵となるため、専門性の高い呼吸器内科や耳鼻咽頭科への受診が望ましいでしょう。
意欲の低下・不安の増強などの精神症状
不眠症状に加え、意欲の低下や不安の増強などの精神症状を認める人は精神科への受診を勧めます。
意欲の減退・不安の増強はうつ病の症状の1つであり、うつ病に伴う不眠症状の場合は自然経過での改善が期待できないためです。
うつ病はつい気質や性格の問題と捉えられがちですが、実はそれだけの問題ではありません。脳内における神経伝達物質、ノルアドレナリンやセロトニンの働きが低下し、感情面や精神面に大きな支障をきたす病気であることが知られています。
そのため、疲れた精神を休めるために十分な休養をとることはもちろんのこと、しっかりと医学的なケアを行う必要があり、精神科への早期受診が好ましいでしょう。
また、うつ病だけでなく双極性障害・統合失調症・不安障害・パーソナリティー障害などさまざまな精神疾患において、高頻度で不眠症状を認めるため、精神症状を認める場合は早期受診を勧めます。
下肢の異常感覚
不眠症状に加え、下肢の異常感覚を認める人は神経内科への受診を勧めます。
下肢の異常感覚によって常に下肢を動かしていたい衝動に駆られ、激しい入眠困難をきたす病気である「むずむず脚症候群」の可能性が高いためです。下肢の異常感覚とは具体的に、「むずむず」「不快」「虫が這う感じ」と表現されることが多いです。
原因ははっきりと解明されていませんが、脳内における神経伝達物質、ドーパミンの分泌になんらかの異常が生じて発症すると考えられています。一般成人の発症率は2〜4%と比較的稀で、鉄欠乏や貧血・妊娠契機に発症している例が多いとされています。
下肢を動かすと異常感覚が改善するため、足を動かさずにはいられなくなり眠れなくなるという症状が特徴的です。症状が一致する方は専門とする神経内科への受診を勧めます。
起床困難
不眠症状に加え、朝起きることができない人は心療内科への受診を勧めます。
夜眠れなくても、通常であれば翌朝は普段通りの時間に起床することができますが、朝起きられない日が続く場合は睡眠相後退症候群を発症している可能性があるため注意が必要です。
人の体内にはサーカディアンリズムと呼ばれる体内時計があり、1日25時間周期でカウントしています。実際には1日24時間であるため、毎日1時間ずつ睡眠時間はずれるはずですが、それでも毎日同じような時間に起床し、就寝できる人がほとんどです。
これは、日中の光刺激や通勤・通学などのルーティンワークによって1時間のズレを毎日自然に修正しているからです。また、日中の光刺激によって体内ではセロトニンが分泌され、夜間になるとセロトニンが睡眠ホルモンであるメラトニンへと変換されるため、自然と眠りにつきます。
しかし、夜間のスマホいじりなどによって継続的に夜更かししていると、メラトニン分泌がうまく行われず、サーカディアンリズムにも乱れが生じるため、1時間のズレをリセットできなくなります。
その結果、就寝時間と起床時間がともに後退し、夜間の不眠症状に加えて、朝の起床困難を併発します。睡眠相後退症候群の治療には薬物療法や光療法があり、専門である心療内科への受診が好ましいでしょう。
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眠れない|病院に行くべきタイミングとは
眠れない時、病院に行くべきタイミングに決まりはありません。本人が眠れないことに対して辛いと感じているなら、病院に行くことをあまり重く受け止めずに気軽に医療機関を受診しても良いでしょう。
それでも判断に迷われる方は、以下のような状態でしたら病院への受診を検討しましょう。
- 眠れない日が1ヶ月以上継続している
- 眠れない症状以外に、なんらかの身体・精神症状を併発している
- 週3回以上の頻度で不眠が生じている
前述したように、眠れない症状の背景には重篤な疾患が隠れている可能性もあるため、病院への受診が遅れてもメリットは1つもありません。迷ったら、気負わずに受診するようにしましょう。
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眠れない時の対処法
眠れない時、病院に行く以外に自身でも対処する方法があります。もちろん眠れない原因によって適切な対処法も異なりますが、案外ちょっとして工夫で眠れるようになることもあるため、事前に知っておくとよいでしょう。
例えば、就寝前のスマホいじりや運動・入浴は控えるべきです。また、カフェインやアルコールの摂取も覚醒作用があり、よくないでしょう。
枕の高さが不適切であったり、マットレスが固すぎる・柔らかすぎる場合も睡眠の質は低下するため、就寝環境を整えるだけでも改善できる可能性があります。
>>枕の選び方
眠れない時の対処法については下記記事でも詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
眠れない時は起立性調節障害の可能性がある
眠れない時は起立性調節障害の可能性があります。
起立性調節障害は身体の急激な成長に対し、自律神経の発達が追いつかず、自律神経のバランスが乱れることでさまざまな症状をきたす身体疾患です。
通常、夜間には副交感神経が優位となり身体はリラックスモードに切り替わるため、就寝できます。睡眠後、朝に向かうにつれて交感神経が徐々に活性化し、身体がアクティブモードになって覚醒に至ります。
しかし、起立性調整障害では自律神経のバランスが乱れているため、夜間に交感神経が活性化して眠れず、朝に交感神経が不活化するため起きられなくなります。
睡眠障害が進行すると朝の通学や登校に支障をきたし、不登校になる子供も少なくないため、早期から適切な対応が必要となります。早期発見のためにもセルフチェックを心がけましょう。
下記の記事では、子供の起立性調節障害のセルフチェックについて詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
また、一般的には子どもに多い病気ですが、大人でも発症するリスクはあります。大人の場合、通勤に影響が出れば生活そのものに支障をきたす可能性もあるため、子ども以上に早期発見が重要でしょう。
下記の記事では、大人の起立性調節障害のセルフチェックについて詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
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