適度な運動は、体力の維持や健康づくりに役立ちます。しかし、運動中や運動後に吐き気やめまいなどが現れ、気分が悪くなった経験はありませんか?
運動の強度や食事のタイミング、暑さ、脱水などによる一時的な不調の場合もありますが、貧血や低血圧、アレルギー、心臓の病気などが関係していることもあります。
本記事では、「運動すると気持ち悪くなる」ときの主な原因や考えられる病気、対処法について解説していきます。
「運動すると気持ち悪くなる」
その症状、もしかしたら起立性調節障害かも?
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「運動すると気持ち悪くなる」ときの原因

非運動時に比べ、運動中は体の血液循環が著しく変化します。まずは、運動時の体内の血液循環の変化について解説していきます。
運動時には心臓から駆出される血液量が最大で約5倍にも増えると言われており、運動により酸素需要が高まった臓器へと血液を供給します。この働きは交感神経によるもので、運動中は交感神経が活性化しています。したがって、運動中は血圧は上昇する傾向に、脈拍は増加する傾向にあります。
運動中はすべての臓器に均一に血流が増加するのではなく、酸素需要が特に高まる骨格筋や心臓を栄養する冠動脈への血流が増加します。一方でその他の消化管や腎臓など運動中に酸素をそれほど必要としない内臓への血流は減少します。
この様に、私たちの体は運動すると自動的にこのような調整がなされます。では、運動中に気持ち悪くなるとき、どの様なことを考える必要があるのかを解説していきます。
睡眠不足やストレスにより、運動前の健康状態が万全ではない場合、自然と運動中にも気分が悪くなってしまいます。運動前の健康状態が万全ではない状態として、ダイエットによる栄養不足や低血糖、貧血などがあります。
運動することで大きな循環の変化を作り出す心臓は大きな影響を受けるため、運動中に著明な息切れや動悸、胸の違和感や痛みなどがある場合は、不整脈や心臓の筋肉に問題がある場合があります。
また、運動することで食事中のアレルゲンが過剰に吸収され、運動中に症状が出現することもあります。これはアレルギーが関与しています。
小麦などを食べた後すぐに運動すると発疹や息切れ、呼吸困難などの症状が現れる場合はこのアレルギー疾患が関与している可能性があります。
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「運動すると気持ち悪くなる」ときに考えられる病気
運動中の気分不良には、貧血や低血圧、アレルギー、心臓の病気などが関係していることがあります。睡眠不足や栄養不足、暑さ、脱水などによる一時的な不調もありますが、症状を繰り返す場合は原因を確認することが大切です。
特に、運動中の胸痛や失神、強い呼吸困難、突然始まる動悸がある場合や、意識が戻らない場合は運動を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
貧血
貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態です。ヘモグロビンは全身へ酸素を運ぶ役割を担っているため、貧血になると疲れやすさ、息切れ、動悸、めまい、だるさなどが現れることがあります。
貧血の原因はさまざまですが、成長期では鉄の必要量が増えること、女性では月経による出血などが、鉄欠乏性貧血の原因になります。偏った食事や無理なダイエット、消化管からの出血などが関係する場合もあります。
貧血がある状態で運動すると、必要な酸素を補うために心拍数や呼吸数が増加し、息切れや動悸、気分不良を感じやすくなります。重い貧血を放置すると心臓に負担がかかる場合もあるため、症状が続く場合は血液検査を受けることが大切です。
鉄欠乏性貧血の症状やセルフチェック、受診の目安について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
低血糖
低血糖は、血液中のブドウ糖が必要以上に低下した状態です。冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、ふらつき、集中力の低下などが現れ、重い場合には意識障害やけいれんを起こすこともあります。
特に、インスリンや一部の糖尿病治療薬を使用している人では、食事量が少ない状態や薬の作用が強い状態で運動すると、低血糖が起こりやすくなります。
また、長時間の激しい運動では筋肉によるブドウ糖の利用量が増えるため、運動中だけでなく運動後にも注意が必要です。糖尿病治療を受けていない人が同様の症状を繰り返す場合は、低血糖と自己判断せず、医療機関で原因を確認しましょう。
低血圧
血圧が低くても症状がない人はいますが、体質や脱水、体調などによって、めまい、立ちくらみ、頭痛、だるさなどが現れることがあります。
運動中は、活動している筋肉への血流を増やすために血管が広がります。運動を急に中止すると、心拍数が低下する一方で血管が広がった状態がしばらく続き、血圧が一時的に低下することがあります。
その結果、めまいやふらつき、吐き気などが現れる場合があります。特に暑い環境で運動したときや、発汗によって水分が不足しているときは注意が必要です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、特定の食べ物を摂取した後に運動することで、アナフィラキシーが誘発される病気です。原因食物として小麦や甲殻類などが知られていますが、原因や発症条件には個人差があります。
じんましんや皮膚の赤みだけでなく、まぶたや唇の腫れ、せき、息苦しさ、腹痛、嘔吐、めまい、意識が遠のくなどの症状が現れることがあります。
食事と運動の組み合わせで症状を繰り返す場合は、自己判断で原因食物を除去せず、アレルギー専門医へ相談しましょう。呼吸困難や意識障害などがある場合は、直ちに救急要請が必要です。
不整脈などの心臓の病気
運動すると心拍数や心臓の仕事量が増えるため、不整脈や心筋症、心筋炎などの心臓病がある場合は、運動中に動悸、胸痛、強い息切れ、めまい、失神などが現れることがあります。
特に、運動中に意識を失ったことがある、突然始まる動悸がある、家族に若くして突然亡くなった人がいるといった場合は、遺伝性不整脈なども含めた確認が必要です。
症状が現れた場合は運動を中止し、循環器内科や小児循環器科などへ相談しましょう。意識障害や胸の強い痛み、呼吸困難がある場合は、速やかに救急要請を検討してください。
「運動すると気持ち悪くなる」ときの治療法

上記でご紹介した病気の治療方法について解説していきます。
貧血の場合
貧血の原因を突き止めることが重要です。女性で月経過多がある場合は、子宮筋腫などの病気が隠れている可能性もあるため、婦人科を受診することをおすすめします。
みぞおち辺りの痛みや、胃のむかつきなどがあり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が疑われる場合は、胃カメラにより診断することができます。原因を突き止めた上で、病気が見つかった場合は、治療を行い、そのうえで、鉄分が多く含まれた食材の摂取を心がけましょう。
鉄分が多く含まれている食材としては、レバーやひじき、のり、バジル、プルーンなどがあります。
低血糖の場合
忙しい朝でも、朝食は欠かさず摂取することが重要です。間食や甘いものを控え、バランスのとれた3食をしっかり摂取しましょう。また、運動中は筋肉を中心に糖の利用が増えるため、空腹での運動はやめましょう。
低血圧の場合
運動の前後にはこまめに水分を補給し、急に激しい運動を始めたり、運動を急停止したりしないことが大切です。
運動前は軽い準備運動を行い、終了時にはウォーキングなどで徐々に運動強度を下げるクールダウンを取り入れましょう。運動後にめまいがした場合は、転倒を避けるため安全な場所で座るか横になって休みます。
塩分摂取を増やす方法が適しているかどうかは、持病や血圧の状態によって異なります。自己判断で増やさず、医師に相談してください。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの場合
食事と運動の組み合わせでアレルギー症状が現れた場合は、アレルギー専門医を受診し、原因食物や運動との関係を確認します。
原因食物の摂取後にどの程度運動を控えるか、原因食物をどの範囲まで避けるかについては、症状や検査結果をもとに医師が判断します。自己判断による負荷試験は危険なため行わないでください。
アドレナリン自己注射薬を処方された場合は、使用方法を本人や家族、学校などで共有し、運動時にも携行します。呼吸困難や意識が遠のくなどの症状がある場合は、アドレナリン自己注射薬を指示どおり使用し、直ちに救急要請してください。
不整脈や心筋梗塞などの心臓の病気の場合
家族歴や運動中の胸の症状、脈が飛ぶなど不整脈が疑われる症状がある場合、必ず受診し、心電図や心臓エコー検査などの検査を行いましょう。
必要な場合は抗不整脈薬や降圧剤・利尿剤などの心不全治療薬を使用して治療を行います。
もしかしたら起立性調節障害かも

起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する働きがうまく機能せず、めまい、立ちくらみ、動悸、倦怠感、頭痛、吐き気などが現れる身体疾患です。
特に、立ち上がった直後や長時間立っているとき、暑い環境にいるときなどに症状が現れやすくなります。運動による発汗や脱水、運動後の急な停止などによって、体調が悪化する場合もあります。
ただし、運動すると気持ち悪くなるという症状だけで、起立性調節障害と判断することはできません。貧血や低血糖、熱中症、アレルギー、心臓の病気など、別の原因も考えられます。
朝起きられない、午前中に調子が悪い、立ちくらみや動悸があるといった症状も続く場合は、小児科や内科などへ相談しましょう。
起立性調節障害では、体調に合わせた適度な運動が非薬物療法の一つになることもあります。ただし、症状が強いときに無理をして激しい運動を行う必要はなく、体調に合わせて運動の強度や方法を調整することが大切です。
起立性調節障害がある場合の運動方法や、運動するときの注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
受診前に子どもの症状を整理しておきたい方は、起立性調節障害のセルフチェックを紹介している、下記の記事も参考にしてください。
下記記事では「起立性調節障害の治療法」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。















