起立性調節障害とは

【医師解説】眠れない時におすすめの飲み物7選|控えるべき飲み物も紹介

2023年8月9日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

「目が冴えてしまって夜なかなか眠れない」「夜中にいつも目が覚めてしまい、熟睡できない」このような睡眠に関するお悩みをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?

夜眠れないと朝起きることも困難となり、通学や通勤に支障をきたします。また、日中眠気に襲われて授業や業務に集中力できないという方もいるでしょう、

よりよい睡眠を得るためには、日中の運動や就寝環境を整えるなどの日常生活におけるちょっとした工夫が重要です。特に、寝る前の水分補給やリラックスできるドリンクは睡眠の質を上げるのにもってこいのアイテムであり、豆乳やココア・ホットミルクなどがおすすめです。

そこで本記事では、眠れない時におすすめの飲み物や飲む際のポイントについて紹介します。また、寝る前には控えた方がよい飲み物や、そのほかの安眠法についても解説します。本記事を参考に、心地よい快眠を手に入れましょう。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

眠れない時におすすめの飲み物

眠れない時におすすめの飲み物

眠れない時におすすめの飲み物を7つ紹介します。

ぜひ自分の好みにあった飲み物を選んで、眠る前にリラックス効果を得ましょう。

ホットミルク

眠れない時にはホットミルクがおすすめです。

ホットミルクなどの乳製品に多く含まれる「トリプトファン」と呼ばれる成分は、セロトニンと呼ばれるホルモンの原料となります。日中に太陽光を浴びることで、トリプトファンからセロトニンが生成され、セロトニンは夜間に松果体といわれる部位でメラトニンの原料となります。

メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれ、自然な睡眠を誘うホルモンです。そのため、トリプトファンを多く含む乳製品を習慣的に飲むことでよりよい睡眠が得られることでしょう。

また、ミルクに含まれるカルシウムには自律神経を整える働きがあり、夜間の交感神経の活性化を抑えることで自然な入眠が得られます。冷たいミルクも同じ成分であるため得られる効果は同様ですが、体温が冷えると血行が悪くなるため、ホットミルクがおすすめです。

ホットティー・ハーブティー

眠れない時には、ホットティーやハーブティーもおすすめです。

ホットティーやハーブティーには豊富な香りがあり、好みの香りを楽しみながら水分補給できるためリラックス効果が期待できます。また自律神経を整える効果も期待できるため、精神的興奮を抑え、自然な入眠が得られやすくなります。

一方で、注意すべきはカフェイン成分です。カフェイン成分が含まれていると交感神経が刺激され、かえって精神的興奮を引き起こすため、目が冴えて眠れなくなります。ティーを選ぶ際はカフェインレスかどうかを確認し、自分の好みにあった香りのティーを選びましょう。

ホットココア

眠れない時には、ホットココアもおすすめです。

ホットココアは、ココアをミルクで割ったものだとよりよいでしょう。ミルクに含まれるトリプトファンとともに、ココアに含まれるテオブロミンと呼ばれる成分も一緒に摂取できるためです。

テオブロミンはココアの苦味成分で、自然界にはカカオにのみ含まれるアルカロイドの一種です。テオブロミンには自律神経を整え、心身ともにリラックス効果が期待されています。

ホットミルク特有の匂いや味が苦手な方でもホットココアなら飲みやすいでしょう。子供にもおすすめのドリンクです。

白湯

眠れない時には、白湯もおすすめです。

白湯とは、水道水などの水を一度沸騰させて、ある程度温度が落ち着いたものを指します。一度沸騰している点がお湯との違いであり、残留塩素やトリハロメタンなどの有害物質が取り除かれていることが条件です。

白湯を飲むと副交感神経が活性化され、消化管の動きが促進されたり、心身に対してリラックス効果が期待できます。デトックス効果や美肌効果も期待できるため、美容目的で飲まれる方も多いです。

一度水を沸騰させ、50℃くらいまで温度が下がってから飲むと程よく温かく、より効果が期待できます。ホットココアなどと違い糖質や脂質も含まれていないため、夜間のカロリー摂取が気になる方には白湯がおすすめです。

甘酒

眠れない時には、甘酒もおすすめです。

甘酒には原料が酒粕と米麹の2種類ありますが、酒粕を原料とする甘酒に含まれるアデノシンという成分には、覚醒を維持するヒスタミンの作用を抑制する作用があるため、睡眠を誘う効果を持ちます。

米麹が原料の甘酒にはアデノシンは含まれないため、注意しましょう。また、甘酒=酒ではないため、アルコールは含まれておらず妊婦や未成年でも安心して飲むことができます。

他にも、成分であるオリゴ糖が腸内細菌の調子を整えてくれるため、お腹にも優しいというメリットがあります。お腹を壊しやすい子供にはおすすめのドリンクです。

ホットジンジャー

眠れない時には、ホットジンジャーもおすすめです。

ホットジンジャーは温かいお湯に生姜を溶いたもので、身体を内側から温める効果や心身をリラックスさせる効果が期待できます。

白湯よりも味が付いているため飲みやすいですが、辛味や独特の風味が苦手な方はハチミツなどを入れるとより飲みやすくなるでしょう。

また胃腸に負担がかかるため、あまり過剰に摂取しないように注意しましょう。

トマトジュース

眠れない時には、トマトジュースもおすすめです。

トマトジュースには精神的興奮を鎮静するGABAと呼ばれる成分が多量に含まれています。そのため、精神を安定させる効果が期待でき、よりよい睡眠に役立つ可能性があります。

また、カリウムと呼ばれる電解質も豊富に含まれており、浮腫みを取る効果や、深部体温を低下させる効果が期待できます。就寝後に深部体温が低下することで良質な睡眠が得られるため、カリウムの摂取は重要です。

コンビニでも購入できるため、眠れない夜にも簡単に手に入れることができるでしょう。

>>眠れないまま朝になった時の対処法を5つ解説|仕事や学校はどうするべき?

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寝る前に控えたほうがよい飲み物

寝る前に控えたほうがよい飲み物

ここまで、寝る前におすすめの飲み物を紹介しましたが、寝る前には控えたほうがよい飲み物もあるため、注意が必要です。

心地よい睡眠を得るため、睡眠の妨げになるような飲み物は事前にしっかり把握しておきましょう。

コーヒー

寝る前に控えたほうがよい飲み物として、コーヒーが挙げられます。

コーヒーに含まれるカフェインは体内に吸収されると、脳内における興奮性神経伝達物質(ドパミン・ノルアドレナリン・グルタミン酸など)の放出を促進し、中枢神経系における覚醒作用をもたらします。

体内に吸収されたのち、摂取から1時間後に薬理作用はピークに達し、その後数時間は効果が継続してしまうため、少なくとも夕食以降のコーヒーの摂取は避けるべきでしょう。

また、仮に日中の摂取といえど、カフェインの過量摂取は中毒症状をきたす可能性もあるため、注意が必要です。どうしてもコーヒーを飲みたい方はデカフェのものを検討しましょう。

玉露

寝る前に控えたほうがよい飲み物として、玉露が挙げられます。

コーヒー同様に、玉露にもカフェインが含まれており、その含有量はコーヒーの2倍以上です。カフェイン=コーヒーのイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はコーヒーよりもエナジードリンクや玉露の方がカフェイン含有量が多いため、注意が必要です。

お酒

寝る前に控えたほうがよい飲み物として、お酒が挙げられます。お酒を控えるべき理由は主に3つです。

  • アセトアルデヒドによる覚醒作用
  • 上気道の浮腫
  • 利尿作用

つい入眠のために寝酒する方もいますが、それはかえって逆効果です。お酒に含まれるアルコールには鎮静作用があり、確かに一時的には入眠効果が得られます。

しかし、アルコールが代謝されて生成されるアセトアルデヒドにはむしろ覚醒作用があるため、睡眠中の覚醒(中途覚醒)の割合が増加し、結果的に睡眠の質が低下することが知られています。

また、飲酒に伴う上気道の浮腫は気道狭窄を招き、睡眠中に取り込める酸素の量が低下してしまうため、睡眠の質の低下の原因です。さらに、アルコールの利尿作用によって夜間尿意を感じて起きてしまうこともあり、就寝前のアルコール摂取は控えるべきでしょう。

関連記事:眠れない時に考えられる6つの病気-セルフチェックや生活上の注意点を解説

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

寝る前に飲み物を飲むことで睡眠の質が高まる


寝る前に適切な飲み物を飲むことで睡眠の質は高まります。

リラックス効果を持つ温かい飲み物や、自律神経を整える成分、リラックス効果のある成分(アデノシンやGABA)を含む飲み物は睡眠の質を高める効果が期待されます。

また、水分摂取の観点でいえば、飲み物を飲むことで血流がよくなり、体温調節機能や代謝機能においてもいい効果があるため、コップ1杯を目安に飲水することが重要です。

過度な水分摂取は夜間の尿意を招くため、摂取量には気をつけましょう。

関連記事:眠れない時は病院を受診するべき?症状別に受診したほうがよい場合を解説

 

寝る前に飲み物を飲む際のポイント

寝る前に飲み物を飲む際のポイント

寝る前に飲み物を飲むことで睡眠の質が高まる一方、間違った方法で実践してしまうとかえって逆効果になるため、事前に注意すべきポイントを把握しておきましょう。

寝る前に飲み物を飲む際のポイントを3つ紹介します。

飲み物の温度に気をつける

寝る前に飲み物を飲む際は、温度に気をつけましょう。

通常、睡眠中は深部体温が低下することが知られており、入眠から就寝後の深部体温低下の振り幅が大きいほど睡眠の質が高まるといわれています。

そのため、就寝の1〜2時間前に温かい飲み物を飲むことで深部体温が一時的に上昇し、深部体温が低下する下げ幅が広がるため、よりよい睡眠が得られます。反対に、冷たい飲み物は深部体温の下げ幅を少なくしてしまうため、おすすめしません。

また、過度に熱い飲み物はむしろストレスとなり、交感神経を刺激してしまうため、40〜50℃くらいの温かい飲み物にしましょう。

飲み物の量に気をつける

寝る前に飲み物を飲む際は、飲む量に気をつけましょう。

量が少なすぎては意味がないですし、あまりにも多量に飲むと夜間にトイレに行きたくなるため、睡眠が妨げられます。適切な量の目安としてはコップ1杯分、150〜200mlほどに抑えましょう。

飲むタイミングに気をつける

寝る前に飲み物を飲む際は、タイミングにも注意しましょう。

温かい飲み物を飲むのは就寝前1〜2時間が適切であり、就寝直前に飲んでしまうと深部体温がむしろ下がりにくくなり、睡眠の質が低下してしまう可能性があります。

就寝直前に飲む場合は、常温かある程度冷たい飲み物ほうが深部体温を上昇させないためおすすめです。温度や量だけでなく、タイミングも考えて飲み物を選びましょう。

飲み物以外で眠れない時の対処法


飲み物を飲む以外にも眠れない時の対処法はあります。

心身ともにリラックスし、副交感神経が優位になるようにコンディションを整えることが重要です。具体的には、アロマを焚く・スマホいじりをやめる・就寝環境を整えるなどの方法が挙げられます。

下記の記事では、眠れない時の対処法をさらに詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

 

眠れない原因


眠れない原因は多岐にわたりますが、早期に原因を同定することが重要です。原因に合った対処をしなければ不眠症状は改善しない可能性が高いためです。

就寝環境や生活習慣を見直し、背景になんらかの病気が隠れていれば医療機関への受診も必要となるでしょう。早期発見のためにも、どのような原因が考えられるのか事前に把握しておくことが重要です。

眠れない原因の詳細については、下記の記事でさらに詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

 

眠れない時は起立性調節障害の可能性がある

眠れない時は起立性調節障害の可能性があります。起立性調節障害は身体の急激な成長に対し、自律神経の発達が追いつかず、自律神経のバランスが乱れることでさまざまな症状をきたす身体疾患です。

午前中に交感神経がうまく活性化しないため、起立時に脳血流が低下することでめまいやふらつきなどの症状をきたします。逆に、夕方以降に遅れて交感神経が活性化するため、夜眠れなくなることもあります。

起立性調節障害は子供で発症しやすく、症状が進行すれば通学に支障をきたす子どもも少なくないため、早期発見が重要です。

下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて詳しく解説しているため、ぜひ参考にして早期発見に務めましょう。

>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

 

また、一般的には子どもに多い病気ですが、大人でも発症するリスクはあります。大人の場合、通勤に影響が出れば生活そのものに支障をきたす可能性もあるため、子ども以上に早期発見が重要でしょう。

下記の記事では、大人の起立性調節障害のセルフチェックについて詳しく解説しています。

>>大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

 

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

【無料】起立性調節障害診断

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

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【無料】起立性調節障害の相談窓口

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