眠れないと思ったことは誰にでもあるのではないでしょうか?
時々眠れない程度であれば日常生活に支障を来すことはそれ程ありませんが、眠れないことが継続すると、職場でのミスや授業中に集中できないなど日常生活に支障を来しかねません。
本記事では、不眠症の症状を中心に、不眠症の原因や治し方などについても解説していきます。
不眠症の症状
不眠症とは、眠るために寝床に入ってもなかなか眠れない状態です。
寝付くまでに時間がかかったり、夜間睡眠中に目が覚めたり、眠りが浅く熟眠感がないなど良質な睡眠が得られない状態が長く続くと、日中の眠気や身体のだるさ、頭痛など様々な症状を引き起こします。
この状態が長く続くと、気分がはれない、イライラするなど精神的にも影響を与えてしまいます。不眠症で見られる身体的、精神的な症状は以下のものが挙げられます。
- 倦怠感、疲れやすさ
- 日中の眠気
- 頭痛
- めまいや吐き気
- 集中力、注意力の低下
- イライラする
- 憂うつな気分
症状①:倦怠感
<主な症状>
睡眠中に身体の疲労が回復するため、不眠が続いた場合疲れがとれず倦怠感が見られます。
<対処法>
不眠症以外にも、貧血などでも倦怠感は見られます。しっかり栄養を摂取し、リラックスする時間を作り身体を休める時間を作りましょう。
症状②:集中力の低下
<主な症状>
日中の家事や仕事、学業に集中できない、ケアレスミスが増えるなどの症状です。
これらの症状に加えて、大事な会議中に居眠りしてしまう、運転中に居眠りしてしまう、などの症状が見られている場合、注意が必要です。
<対処法>
睡眠中のいびきが強く、呼吸が止まっていることを指摘されたことはありませんか。
不眠症を来す病気が隠れている可能性も考えられますので、一度医療機関を受診することを検討してみてください。
症状③:憂うつな気分
<主な症状>
不眠が長く続くと気分に変化が見られることが考えられます。
憂うつな気分以外にも、イライラしやすい、やる気がでない、何事も楽しめないなど気分の変動が見られます。
<対処法>
十分な休養が必要です。重要な決断は先回しにして、焦って決断しないようにしましょう。
気分の変動が継続してみられている場合はメンタルクリニックや心療内科を受診することも検討してください。
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不眠症とうつ病の関係性
不眠症とうつ病は互いに関連が強い病気と言えます。まずは、うつ病について解説していきます。
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることでうつ病が発症するとされています。
症状としては、気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこり、そして眠れないなどがあります。
睡眠中に記憶や身体の代謝の調整などが行われるため、眠れないことでそれらの調整が行えずうつ病の症状がさらにひどくなります。
今までうつ病になったことがない患者のうち、4割の患者でうつ症状よりも前に不眠の症状が現れていたという報告があります。したがって、うつ病と不眠症は非常に深い関係にあることがわかると思います。
体調以外にも、メンタル不調が見られている場合、休養し早期に専門家に相談することが重要です。
関連記事:うつ病の人がとる行動|仕事・学校・家庭・恋愛別に医師が解説
不眠症のセルフチェック
以下の症状に当てはまるものがある場合、不眠症の可能性があります。いくつ当てはまるか、ご自身の症状に当てはめてみてください。
- ベットに入ってから寝付くまでに時間がかかる
- 睡眠中に何度も目が覚めてしまう
- 朝方早く目が覚めて、以降はなかなか眠れない(二度寝ができない)
- 眠りが浅く、熟眠感がない
- 日中の仕事や学業、家事などの作業に支障がある(疲労感がある、集中できない、よくミスをするなど)
- 日中の気分に変化がある(やる気がでない、イライラする、眠れないことへの不安、ストレスなど)
- 日中の強い眠気(会議中や運転中などに居眠りをしてしまうなど)
下記記事では、不眠症のセルフチェックについて詳細にご紹介していますので是非ご一読ください。
関連記事:不眠症のセルフチェック診断|うつ病など不眠症以外で考えられる病気も紹介
不眠症の原因
生活習慣の乱れや睡眠前の適切でない習慣など不眠症の原因は実に様々です。背景に疾患が隠れている場合もあり注意が必要です。
足の異常な感覚、悪夢を見る、睡眠中に暴れる、夕方前には眠くて寝てしまい夜中に起きるなど異常な睡眠サイクルなどが見られている場合は、病気の可能性が高いため早期に医療機関を受診することをおすすめします。
その他、生活習慣で不眠を来す原因になることとしては以下のことが考えられます。
- 生活リズムの乱れ
- 朝食を食べない、暴飲暴食など食習慣の乱れ
- 睡眠前の食事摂取や飲酒、カフェイン摂取
- 照明や温度など寝室の条件が不適切
- 運動習慣の欠如
- 日中の活動量が少ない
- 睡眠前のスマートフォン操作
- 疲れすぎている・ストレスが蓄積されている
関連記事:不眠症の原因を5つ解説-男女別の原因やストレスとの関連性を紹介
不眠症の治し方
上記でもご説明した通り、生活習慣が乱れていると睡眠へも影響します。したがって、眠れない時には生活習慣の見直しがとても重要です。
具体的には、上記でご説明した項目に当てはまるものがあれば改善することをおすすめします。
厚生労働省により発表された「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、必要な睡眠時間は年齢によっても変動しますが、7時間程度は確保することが望ましいです。具体的な対象方法を下記にご紹介します。
- 適切な睡眠時間を確保する
- 寝室は暗くして、暑すぎない・寒すぎない適温に設定する
- 朝食はしっかり摂取し、暴飲暴食は避け、睡眠前の食事は避ける(理想としては遅くとも睡眠の2時間前には夕食は済ませておく)
- 睡眠前は入浴し、リラックス時間を作る
- 日中の活動量を増やす、運動習慣をつける
- 睡眠前のスマートフォン操作は厳禁
- ストレス発散を心がける
不眠を来す病気がある場合、これらに注意した上で薬物療法が追加されることになります。
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不眠症と思っていたら起立性調節障害の可能性もある
起立性調節障害という病気をご存知でしょうか。自律神経である交感神経と副交感神経の調整のバランスが崩れることで様々な症状がみられる病気ですが、この病気でも睡眠障害が合併していることが多いです。
典型的には、朝起き上がれない、午前中は頭痛やめまい、ふらつき、全身倦怠感などの様々な症状が見られ調子が悪く、午後にかけて次第に症状が改善します。
これは、本来起床時間に活性化する交感神経が遅れて活性化するために見られる症状です。一日の中で自律神経の動きにはパターンがあります。
起床時間に向けて朝方から身体を覚醒させる交感神経の働きが強くなります。午後には次第に交感神経の働きは弱まっていき、就寝に向けて身体を休ませる副交感神経の働きが優位になります。
起立性調節障害の場合は、朝に見られる交感神経の活性化が遅れることで午前中は体調不良が続き、午後には交感神経の活性が追い付き症状も改善します。
しかし、活性化が遅れた交感神経は本来副交感神経が活性化するはずの就寝時間になっても弱まることがないため、眠気がなく就寝時間が大幅に遅れるのです。
この病気は思春期によく見られる病気の一つですが、大人でも見られることがあり注意が必要です。眠れない以外にも、体調不良が続いている場合、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて解説しておりますので、是非ご一読ください。
>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
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