起立性調節障害とは

これは病気?午前中だるい 午後は元気になる原因や対策・治療法

2023年1月20日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

 

朝目覚めが悪くすっきりしない、午前中は体が特にだるいということはありませんか?

ただの寝不足のことも多いですが、病気が隠れている可能性もあります。

午後には多少改善されるが、午前中は特に体がだるい原因、考えられる病気、対処法などをまとめて解説していきます。


「午前中だるい 午後は元気になる」

その症状、もしかしたら起立性調節障害かも?

1分できる起立性調節障害のセルフチェック方法はこちら↓

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起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

「午前中だるい 午後元気」の原因

    • 目覚めが悪く、体がすっきりしない
    • 午前中は特に調子が悪く、午後には少し改善される、または午後には元気になる

程度に差はあれど、忙しい現代人において誰にでも経験がある症状ではないでしょうか。寝不足や睡眠の質の低下、過労などが最もよく考えられる原因ですが、他にも症状がみられる場合は病気の可能性もあります。

できるだけ早寝早起きを心がけ、以下でご説明する病気の症状に当てはまるものがないか確認してみてください。心配な症状がある場合は、一度医療機関を受診しましょう。

 

「午前中だるい 午後元気」な時に考えられる病気とは

しっかり睡眠時間を確保しているのにも関わらず、午前中体調がすぐれない場合は以下のような病気が考えられます。

◆低血圧
血圧が低いことで、全身の血のめぐりが悪くなり、脳への血流が低下することでふらつきやめまい、頭痛や体のだるさなどが見られます。
生まれつき血圧が低い、睡眠不足、筋肉量の不足などが原因として考えられます。

◆低血糖
体の(特に脳の)エネルギー源となるブドウ糖が低下することで、冷や汗、ふらつき、体のだるさなどが見られます。
忙しい現代人は朝食をしっかり食べる習慣に乏しく、大きな原因の一つと考えられています。
もともと糖尿病がある方の場合、血糖を下げるためのお薬(経口血糖降下薬)やインスリンが効きすぎていることも考えられます。

◆貧血
血液中で全身に酸素を運搬する働きがあるヘモグロビンの濃度が低下することで、全身で酸素が不足している状態。
貧血の原因は様々であり、年齢や性別によっても異なります。
女性の場合は月経、30-40代の働き盛りの世代では胃潰瘍や十二指腸潰瘍、加齢に伴い悪性腫瘍や血液疾患の可能性も考えられます。
月経の場合は、過多月経や血の塊が多くみられ、胃潰瘍の場合は、食事中のみぞおち辺りの痛み、胃もたれ、むかつき、十二指腸潰瘍の場合は空腹時の痛み、その他にも体重減少や皮下出血などが見られる場合は注意が必要です。

◆甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンは甲状腺で産生・分泌されるホルモンで、全身の代謝を活発にするホルモンです。
甲状腺機能低下症では、この甲状腺ホルモンが低下することで、つかれやすさや食欲の低下、便秘など多様な症状が見られます。

◆睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が停止する(無呼吸)、もしくは呼吸が弱くなることで、睡眠の質が低下し、朝すっきりしなかったり、日中も強い眠気に襲われる病気です。
この状態を放置すると、全身様々な臓器に負担がかかります。特に心臓への負担が非常に問題であり、心筋梗塞や脳梗塞、最悪の場合は突然死のリスクにもなります。

◆副腎機能不全
感染や炎症、腫瘍など様々な原因により副腎の機能が低下することで、副腎から分泌されるホルモンが十分に分泌されず、様々な症状を来す病気です。
副腎は両側の腎臓の上に乗っかるようにして存在しており、アドレナリンやステロイドホルモン、性ホルモンを分泌しています。
特にステロイドホルモンが欠乏することで低血圧や低血糖、全身の倦怠感などが出現します。

◆うつ病
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
気分が落ち込み、何事にも興味が持てなくなり、食欲低下や睡眠障害を来し、疲れやすく、日常生活に支障をきたす場合も多い病気です。

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「午前中だるい 午後元気」の治療法

上記でご説明した「午前中はだるくて、午後は元気になる」状態を引き起こす状況や病気についての治療法について、それぞれ解説していきます。

◆寝不足、過労
年齢によっても異なりますが、厚生労働省によると1日7-8時間程度の睡眠時間を確保することが推奨されています。

◆低血圧
体内の塩分と水分は血圧の維持に密接に関連しており、適量の塩分と水分の摂取を心がけましょう。
特に持病がない場合の塩分摂取量の目安は、1日あたり成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。

◆低血糖
忙しい朝でも、朝食は欠かさず摂取することが重要です。間食や甘いものを控え、バランスのとれた3食をしっかり摂取しましょう。
また、糖尿病がある方は、経口血糖降下薬やインスリンの減量が必要かもしれませんので、主治医に相談しましょう。

◆貧血
貧血の原因を突き止めることが重要です。女性で月経過多がある場合は、子宮筋腫などの病気が隠れている可能性もあるため、婦人科を受診することをおすすめします。
みぞおち辺りの痛みや、胃のむかつきなどがあり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が疑われる場合は、胃カメラにより診断することができます。
原因を突き止めた上で、病気が見つかった場合は、治療を行い、そのうえで、鉄分が多く含まれた食材の摂取を心がけましょう。
鉄分が多く含まれている食材としては、レバーやひじき、のり、バジル、プルーンなどがあります。

◆甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが低下した状態ですので、不足した甲状腺ホルモンを補充する内服薬があります。

◆副腎機能不全
最も重要な治療は不足したホルモンを補充するホルモン補充療法であり、ステロイドの服用です。
症状をもとにして、主治医によりステロイド薬の減量の計画がなされます。
決して自分の判断で減量しないでください。また、体調を崩した場合には増量が必要になることがありますので、主治医と相談してください。

◆うつ病
抗うつ剤などの薬物療法に加え、心と体を休養させることが重要です。

これらの病気が疑われる場合は、必ず医療機関を受診し、治療方針を医師と相談しましょう。

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もしかしたら起立性調節障害かも

上記の病気の中で、低血圧や低血糖、うつ病は症状に変動が見られやすく、特に午前中体がだるく、午後にかけて改善していきます。それ以外の病気は症状に大きな変動が見られにくいです。

上記の病気の中で、特に当てはまる症状がなければ、「朝だるくて、午後元気になる」症状はもしかしたら起立性調節障害など自律神経失調症に分類される病気かもしれません。

起立性調節障害は何らかの原因で自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、多様な症状を来す病気です。

自律神経のバランスには日内変動のパターンがあり、交感神経が優位に働くことで日中は活動するためのスイッチが押され、夕方にかけて副交感神経にスイッチしていき、睡眠中は副交感神経が優位に働くことで体を休息させます。

起立性調節障害の方は朝方起床時に副交感神経から交感神経へのスイッチがうまくいかず、活動するためのスイッチがなかなか押されない状態になってしまいます。そのため、朝なかなか起き上がれず、朝食も食べることができず、午前中は体調が悪いことが多いのです。

セルフチェックにより起立性調節障害が疑わしい場合は医療機関を受診しましょう。下記記事では起立性調節障害のセルフチェックについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

下記記事では「起立性調節障害の治療法」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

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【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

 

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