起立性調節障害とは

これは病気?朝起きられない、だるい時の原因や対策・治療法

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医

 

これは病気?朝起きられない だるい時の原因や対策・治療法

自分の子供が朝起き上がれずにだるそうにしていたら、親御さんはどう対応するでしょうか?

病気の可能性を考えて心配になる親御さんが多いと思いますが、サボりだと思って叱責してしまう親御さんもいるかもしれません。

子供は成人よりも体調を壊しやすいため様々な病気を疑わなくてはいけません。朝、倦怠感が強く起きられない場合には身体的な疾患だけでなく精神的な疾患の可能性もあります。

なかには、朝だけ症状が強く起き上がれませんが、午後になると症状が改善して活動的になれる起立性調節障害(OD)と呼ばれる病気もあり、早期に診断をつける必要があります。

もし仮に自分の大切な子供が起立性調節障害に罹患した場合、朝起きれないために学校への通学ができなくなってしまう可能性もあり、日常生活に大きく影響を与えてしまうため極力早期の医学的介入が必要です。

そこで本記事では、子供の朝起きられない症状について分かりやすく解説します。

「朝起きられない だるい」の原因

子供がだるくて朝起きられないような状態になった時、症状だけ見るとかなり多くの疾患を疑う必要性があります。

例えば、小児に多い感染症に罹患すれば、体内で炎症が生じてしまい寒気や全身倦怠感、関節痛などの症状が出現し倦怠感とともに起き上がれなくなります。

気道の感染症である急性上気道炎や扁桃炎であれば、咽頭痛や発咳、喀痰などの症状が併発するはずです。腹部の感染症である急性腸炎やノロウイルスであれば下痢や嘔吐、腹痛などの症状を併発するはずです。

感染症以外にも、カリウムやナトリウムなどの電解質障害、低栄養、低血糖、脱水など、倦怠感や起床困難を引き起こすような原因は多く考えられます。

しかし、これらの原因は決して朝だけ症状が出現するものではないため、朝に限定した症状となると他の原因を考えなくてはいけません。

朝だけ起きることのできない原因としては睡眠障害の可能性があります。睡眠のリズムが崩れることで、起床しなくてはいけない時間帯に活動できなくなります。

他にもうつ病や適応障害などの精神疾患が挙げられます。起床後に学校に行くことに対して精神的にストレスを感じている場合、朝起きることができなくなる可能性があります。

仮にお子さんが「朝起きられない、だるい」などの症状を訴える場合、上記のように原因は多岐に渡るため、ご自宅で完璧に判断することは難しいと思います。

しかし、生活習慣病などのリスクを抱える大人とは異なり、子供の場合は先天的な病気がなければ基本的には健康体であるため、だからこそ罹患しやすい病気もある程度限られてきます。

そこで「朝起きられない、だるい」という症状に対し、親御さんはどういった病気の可能性をまず最初に考えなくてはいけないのかを具体的に解説して行きます。

朝起きられない だるい時に考えられる病気とは

まず第一に睡眠障害が挙げられます。なかでも睡眠相後退症候群と呼ばれる疾患は朝起きれなくなってしまう病気の1つです。

本来、人間は夜になると、松果体という部位からセロトニンを原料にメラトニンというホルモンを分泌します。このメラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれ眠気を誘発します。原料であるセロトニンは日中に光をたくさん浴びることで分泌され、逆にメラトニンは光がなくなる夜間ほど分泌される特性を持ちます。

つまり、日中太陽光を浴びた場合、夜間になるとメラトニン分泌が促進してくるので人間は睡眠するようになるのです。しかし、寝る前にスマホをいじったりゲームをすると不要な光を浴びてしまい、メラトニンの分泌は抑制されてしまいます。

これらにより夜間の入眠が抑制され、そのまま睡眠相が後退し朝起きられなくなってしまう原因になります。起床時間が遅れると日中太陽を浴びる時間が減るため、セロトニン分泌量が減少してしまいます。

セロトニンはメラトニンの原料になるため、結局夜間のメラトニン分泌量はさらに減少し、どんどん睡眠相が後退して行くのです。比較的若年者に多いと言われています。

次に睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。特に小児では睡眠時無呼吸症候群の中でも閉塞型と呼ばれる病気に罹患しやすく、これも朝起きられなくなる疾患の1つです。

小児は顎が小さく、そのわりに舌が大きいため気道が狭くなりやすい構造です。そこに肥満が加わるとさらに気道は狭くなってしまいます。その状態で睡眠すると舌根が落ちてしまい上気道は閉塞してしまいます。

睡眠中うまく呼吸できなくなってしまい持続的な低酸素に陥り睡眠の質が著しく低下してしまうのです。睡眠時無呼吸症候群の場合、浅い睡眠と起床後の異常な眠気を感じます。特に夜間のいびきや肥満傾向の子供が朝起きられない場合には、強く疑う必要があります。

次に適応障害やうつ病などの精神疾患が挙げられます。これらは精神疾患であり、通学などの精神的ストレスが影響して発症します。特に適応障害は明らかにストレスの原因がはっきりしていることが多いです。

適応障害の場合はストレスから離れれば症状が改善する可能性が高いため、朝起きれなくてもそのまま自宅にいれば症状が改善する可能性が高いはずです。

うつ病の場合は、ストレスの原因から離れても症状はそこまで改善しにくい病気です。どちらも意欲の低下やストレスに対する拒否反応が見られて朝起きれなくなってしまう可能性がある疾患と言えます。

しかし、これらの疾患以外にも問題になる疾患があります。それは起立性調節障害です。その場合、まさに「朝だけだるくて起きられない子供」に当てはまる症状をきたす疾患です。

もしかしたら起立性調節障害かも

起立性調節障害は急激な肉体の成長に対して自律神経の成長が追いつかず、脳血流が低下することで様々な症状をきたす疾患です。

起床時、重力に伴い血液が下肢に多く流れ込んで行くため脳血流が低下しやすくなります。そこで本来であれば自律神経が自動で調節して交感神経の働きを強くさせることで、脳血流を維持させようとします。

交感神経の働きが強くなることに伴い、足の血管が収縮し心臓の鼓動が強まることで脳への血流が増加するのです。しかし起立性調節障害の場合、交感神経の働きが強くならず脳血流が低下してしまうのです。

起立性調節障害は精神的な問題でなく完全に身体的な疾患であるため早期の医学的介入が必要になります。

「朝起きられない だるい」の治療法

原因にもよりますが、病気によって対処法も大きく異なります。しかし、どの原因であってもストレスの少ない規則正しい生活習慣により症状が改善する可能性があります。

上記疾患はどれも医療機関での治療が必要になる可能性が高い疾患であるため、不安があれば早期に医療機関への受診をお勧めします。

特に起立性調節障害の場合、起き方を工夫すれば起きれるようになる可能性もあり、行動ひとつひとつが治療につながるような病気であるため、早期に診断をつけることが重要です。

実際には医療機関を受診する前に親御さんとお子さんでセルフチェックを行うことをお勧めします。下記記事では、起立性調節障害の子供に対するセルフチェック法が詳しく解説されています。気になる方はぜひ参考にしてください。

 

 

下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

キーワードから探す

-起立性調節障害とは
-,