起立性調節障害とは

起立性調節障害が「難病指定」されない理由|今後指定される可能性について解説

2022年12月11日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

起立性調節障害とは、自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることでめまいやふらつき、たちくらみ、頭痛、腹痛など様々な症状を来す病気です。

朝起き上がることが難しく、午前中も体調不良で起き上がることができないなど辛い症状が多い病気ですが、難病に指定されているのかと思われたことはありませんか?

結論としては、起立性調節障害は難病指定されていません。本記事では、指定されていない理由や今後指定される可能性について解説します。

関連記事:起立性調節障害の治し方・親ができること

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

難病指定の基準

まず難病指定の基準から解説していきます。

厚生労働省は難病の患者に対する医療等に関する法律「難病法」を定めています。

難病法では、難病患者の良質かつ適切な医療の確保、療養生活の質の維持向上を図ることを目的として、基本方針の策定、公平・安定的な医療費助成制度の確立、調査研究の推進、療養生活環境整備事業の実施等の措置について規定しています。

<難病と指定難病について>

難病法において、難病を「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾病であって、長期の療養を必要とする疾病」と定義し、幅広い疾病を対象として調査研究・患者支援等を推進しています。

他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、調査研究・患者支援を推進するため、患者数等による限定は行っていません。

難病のうち、患者の置かれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いもので、下記の要件の全てを満たすものを、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定したものを指定難病といい、医療費助成の対象となります。

・患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと

・客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

現段階で338の疾患が指定難病に指定されています。

起立性調節障害は難病に指定されている?

現段階では起立性調節障害は難病に指定されていません。

【関連記事】起立性調節障害とは?
起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

難病指定されていない理由

起立性調節障害とは、ストレスなど何らかの原因で自律神経である交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れることで様々な症状を来す病気です。

体が大きく成長し、ホルモンの変動が大きい思春期に多くみられ、ほとんどの場合で成長とともに症状も改善することが多いため、難病に指定されていないのではないかと考えられます。

また、上記でご説明しましたとおり、指定難病に認定されるためには基準があり、起立性調節障害は下記の理由からその基準を満たさない可能性が高いです。

<発病の機構が明らかでない>

自律神経の働きのバランスが崩れる原因ははっきりしませんが、ストレスや思春期特有の体とホルモン動態の成長などが関与していることが言われています。

<治療方法が確立していない>

昇圧剤などを使用することで治療方法があります。

<希少な疾病であるか>

希少ではなく、思春期においては比較的よく見られる疾患。

<長期の療養を必要とする疾病であるか>

起立性調節障害は約10%が罹患すると言われており、希少な疾患ではなく、指定難病の定義である「人口の約0.1%程度に達しないこと」を満たさないため、難病に指定されていないと考えられます。

【関連記事】起立性調節障害とは?

今後難病に指定される確率

非常に辛い症状で苦しんでいる方も多く、難病に指定されることで医療費の助成などが適応にはなりますが、やはり罹患者数が指定難病の定義より多いことなどから今後も難病に指定される可能性は高くないのではないかと思われます。

体の成長とともに症状も和らぐことが多いため、主治医と相談しながら治療を継続していきましょう。

下記記事では、起立性調整障害の治し方に関して詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。

【関連記事】起立性調節障害とは?

【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
厚生労働省 難病対策の概要

【無料】起立性調節障害診断

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

トトノエメガネ

トトノエライトプレーン

【無料】起立性調節障害の相談窓口

関連記事:起立性調節障害とは

・起立性調節障害の子供に親ができること・治療法・治った方の事例

・起立性調節障害の方の体験談

・起立性調節障害が治った人の声

・起立性調節障害における「光療法」効果や仕組みを解説

・起立性調節障害の原因は?発症期間や発症しやすい人の特徴

・起立性調節障害の症状を小中高生別に解説|重症・中等症・軽症の事例

・起立性調節障害患者の血圧数値はどれくらい?測定方法なども紹介

・起立性調節障害 6つの種類とその特徴【医師解説】

・起立性調節障害 重症での入院基準は?入院中の治療や期間を紹介

・起立性調節障害の子供はどうして遊びには行けるの?

・起立性調節障害はいつまで続くの?治療期間とは

・起立性調節障害は治る病気?それとも治らない?

・起立性調節障害に効果的な薬はある?その種類や薬物療法について解説

・起立性調節障害が「難病指定」されない理由|今後指定される可能性について解説

・季節や気圧によって起立性調節障害の症状が悪化|対応方法や原因を解説

・小学生でも起立性調節障害になる?原因や主な症状とは

・中学生の起立性調節障害。原因・症状・生活への影響・うつ病との違いとは

・高校生の起立性調節障害。原因・症状・うつ病との違いとは

・起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト

・大人の起立性調節障害セルフチェック項目|診断テスト

・大人の起立性調節障害について

・全記事の一覧

関連記事:子どもへの対応

起立性調節障害に対応している病院紹介
本コンテンツは一般社団法人 起立性調節障害改善協会が独自に制作しています。メーカー等から商品・サービスの無償提供を受けることや広告を出稿いただくこともありますが、メーカー等はコンテンツの内容やランキングの決定に一切関与していません。当協会では編集ポリシーに則って製品・サービスを紹介しており、企業等の意見を代弁するものではありません。当記事では正確な情報提供に努めておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。サイト内に表示している広告については、広告掲載ポリシーをご覧ください。当記事で記載している価格は全て税込み表記です。記事内容についてのご意見・誤字脱字のご指摘はお問い合わせフォームからお寄せください。

-起立性調節障害とは