適度な運動は病気の予防や症状の改善など健康増進に不可欠です。しかしながら、運動中や運動後に気分が悪くなってしまった経験はありませんか?
本記事では、運動と病気に関して「運動すると気持ち悪くなる」ときの原因や病気の可能性などについて解説していきます。
「運動すると気持ち悪くなる」
その症状、もしかしたら起立性調節障害かも?
1分できる起立性調節障害のセルフチェック方法はこちら↓
◆関連記事:学校を休んでいる間も出席扱いとなる制度を紹介
「運動すると気持ち悪くなる」ときの原因
非運動時に比べ、運動中は体の血液循環が著しく変化します。まずは、運動時の体内の血液循環の変化について解説していきます。
運動時には心臓から駆出される血液量が最大で約5倍にも増えると言われており、運動により酸素需要が高まった臓器へと血液を供給します。この働きは交感神経によるもので、運動中は交感神経が活性化しています。したがって、運動中は血圧は上昇する傾向に、脈拍は増加する傾向にあります。
運動中はすべての臓器に均一に血流が増加するのではなく、酸素需要が特に高まる骨格筋や心臓を栄養する冠動脈への血流が増加します。一方でその他の消化管や腎臓など運動中に酸素をそれほど必要としない内臓への血流は減少します。
この様に、私たちの体は運動すると自動的にこのような調整がなされます。では、運動中に気持ち悪くなるとき、どの様なことを考える必要があるのかを解説していきます。
睡眠不足やストレスにより、運動前の健康状態が万全ではない場合、自然と運動中にも気分が悪くなってしまいます。運動前の健康状態が万全ではない状態として、ダイエットによる栄養不足や低血糖、貧血などがあります。
運動することで大きな循環の変化を作り出す心臓は大きな影響を受けるため、運動中に著明な息切れや動悸、胸の違和感や痛みなどがある場合は、不整脈や心臓の筋肉に問題がある場合があります。
また、運動することで食事中のアレルゲンが過剰に吸収され、運動中に症状が出現することもあります。これはアレルギーが関与しています。
小麦などを食べた後すぐに運動すると発疹や息切れ、呼吸困難などの症状が現れる場合はこのアレルギー疾患が関与している可能性があります。
目からウロコの無料小冊子と動画を配布しています。
当サイトを運営している一般社団法人起立性調節障害改善協会が起立性調節障害の改善について世界でスタンダードな改善法や、副作用もなく根本解決に向けてご家庭で取り組める内容を小冊子と動画で解説した資料を作成しました。
PDFと動画でお送りするので、スマホやパソコンですぐにご覧いただけます。
冊子と動画のダウンロードは無料です。
メールアドレスをフォームにご記入ください。
「運動すると気持ち悪くなる」ときに考えられる病気
「運動すると気持ち悪くなる」ときに考えられる病気について解説していきます。運動前の健康状態が万全ではない状態:栄養不足、睡眠不足、ストレスについては割愛させて頂きます。
<貧血>
血液中で全身に酸素を運搬する働きがあるヘモグロビンの濃度が低下することで、全身で酸素が不足している状態。貧血の原因は様々であり、年齢や性別によっても異なります。
女性の場合は月経、30-40代の働き盛りの世代では胃潰瘍や十二指腸潰瘍、加齢に伴い悪性腫瘍や血液疾患の可能性も考えられます。
月経の場合は、過多月経や血の塊が多くみられ、胃潰瘍の場合は、食事中のみぞおち辺りの痛み、胃もたれ、むかつき、十二指腸潰瘍の場合は空腹時の痛み、その他にも体重減少や皮下出血などが見られる場合は注意が必要です。
貧血の状態で運動を行うと、心臓が疲れてしまします。なぜなら、酸素需要が高まった臓器へ、鉄分が不足したいわば質の落ちた血液を送り届けるため、正常の血液よりも多くの量が必要になるのです。
心臓はこれに対応するため、心拍数をさらに上昇させます。いつも以上に心臓の運動が高まり、心臓が疲れてしまい、この状態が継続すると心不全に至ってしまう可能性があります。
<低血糖>
体の(特に脳の)エネルギー源となるブドウ糖が低下することで、冷や汗、ふらつき、体のだるさなどが見られます。忙しい現代人は朝食をしっかり食べる習慣に乏しく、大きな原因の一つと考えられています。
運動中は筋肉がブドウ糖を消費するため、運動前に低血糖の状態で運動することは危険です。激しい運動や長時間の運動をする場合は特に注意が必要です。
<低血圧>
血圧が低いことで、全身の血のめぐりが悪くなり、脳への血流が低下することでふらつきやめまい、頭痛や体のだるさなどが見られます。
生まれつき血圧が低い、睡眠不足、筋肉量の不足などが原因として考えられます。低血圧の方は、軽い運動をすることが有効ですが、運動後に注意が必要です。
運動中、心臓は心拍数を増加させ、血圧も上昇傾向にありますが、運動が終わると次第に心拍数が低下していきます。
下肢の筋肉に関しては、運動中筋肉への血流が豊富になるため、下肢血管は拡張しています。運動終了後も拡張している状況が継続し、次第に元の状態に戻ります。
つまり、運動後ある一定の期間は心拍数が低下してる状態で、下肢の血管は拡張しているため、脳への血流が低下しやすくなります。この運動後の血圧低下、脳血流の低下がめまいや気分不良の原因になり注意が必要です。
<食物依存性運動誘発アレルギー>
普通のアレルギーとは異なり、運動が誘因になります。アレルゲンとなる特定の食べ物(小麦、甲殻類が多い)を食べてから2~3時間以内に運動をすることで蕁麻疹や呼吸困難などの症状を来す病気です。
アレルゲンとなる食べ物を摂取するのみで運動をしなければ症状は出現しません。運動をすることで食べ物からのアレルゲンの吸収率が上がることが原因で起こると考えられています。
<不整脈や心筋梗塞などの心臓の病気>
心臓表面には心臓自身を栄養する冠血管が走っています。この血管に狭窄があると心臓に血流・栄養がいかなくなります。特に、運動時は心臓の仕事量が増え、負担が大きくなるため息切れや胸の違和感・痛みなどの症状が出現しやすくなります。
また、突然死の家族歴がある場合などは遺伝性の不整脈の可能性があり、特に注意が必要です。
「運動すると気持ち悪くなる」の治療法
上記でご紹介した病気の治療方法について解説していきます。
<貧血>
貧血の原因を突き止めることが重要です。女性で月経過多がある場合は、子宮筋腫などの病気が隠れている可能性もあるため、婦人科を受診することをおすすめします。
みぞおち辺りの痛みや、胃のむかつきなどがあり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が疑われる場合は、胃カメラにより診断することができます。原因を突き止めた上で、病気が見つかった場合は、治療を行い、そのうえで、鉄分が多く含まれた食材の摂取を心がけましょう。
鉄分が多く含まれている食材としては、レバーやひじき、のり、バジル、プルーンなどがあります。
<低血糖>
忙しい朝でも、朝食は欠かさず摂取することが重要です。間食や甘いものを控え、バランスのとれた3食をしっかり摂取しましょう。また、運動中は筋肉を中心に糖の利用が増えるため、空腹での運動はやめましょう。
<低血圧>
体内の塩分と水分は血圧の維持に密接に関連しており、適量の塩分と水分の摂取を心がけましょう。特に持病がない場合の塩分摂取量の目安は、1日あたり成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
また、運動後低血圧に関しては、下肢の筋肉と心臓の働きが連動せず、それぞれが落ち着くまでに時間差があることが原因であるため、運動終了後のストレッチやウォーキングなどクールダウンをしっかり行うことが予防になります。
<食物依存性運動誘発アレルギー>
必ず受診し、診断をつけることがまずは重要です。アレルゲンとなる食べ物を可能な限り控え、摂取後の運動も控えましょう。
運動が必要な場合は、最低でも2時間程度は控えることが重要です。発作時に備えアドレナリン自己注射薬を医師に処方してもらい、使用方法を確認し、携行することも重要です。
<不整脈や心筋梗塞などの心臓の病気>
家族歴や運動中の胸の症状、脈が飛ぶなど不整脈が疑われる症状がある場合、必ず受診し、心電図や心臓エコー検査などの検査を行いましょう。必要な場合は抗不整脈薬や降圧剤・利尿剤などの心不全治療薬を使用して治療を行います。
もしかしたら起立性調節障害かも
私たちの生命維持に必要な呼吸や消化吸収など様々な代謝活動に自律神経が関わっています。運動中も自律神経の働きが大きく関わっています。
自律神経には体を活動的にする交感神経と体を休息させる副交感神経があり、交感神経は運動中活性化され心拍数の増加や血圧の増加に関与します。
自律神経のバランスに乱れが生じると特に激しい運動中に気持ち悪くなることがあります。
起立性調節障害は自律神経のバランスに乱れが生じる病気ですが、横になった状態から起き上がる場合や座った状態から立ち上がる場合など、急な体位変換時に症状が出現しやすいです。
また、長時間の立位や激しい運動、炎天下での運動、運動による大量の発汗、脱水の状況などで状態が悪化しやすいため、このような状況が見られている場合は起立性調節障害の可能性があります。
下記記事ではご自身が起立性調節障害の可能性があるのかをセルフチェックすることができます。ぜひ参考にしてみてください。
下記記事では「起立性調節障害の治療法」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
◆関連記事:学校を休んでいる間も出席扱いとなる制度を紹介