なかなか眠れないと悩まれている方は多いのではないでしょうか。中には、ご自分が不眠症なのか、原因は何なのか、受診をした方が良いのかと悩んでいる方もいるかもしれません。
こちらの記事では、不眠症のセルフチェック方法を中心に、不眠の原因や改善方法などについて解説していきます。
不眠症のセルフチェック診断シート
以下の症状に当てはまるものがある場合、不眠症の可能性があります。いくつ当てはまるか、ご自身の症状に当てはめてみてください。
- ベットに入ってから寝付くまでに時間がかかる
- 睡眠中に何度も目が覚めてしまう
- 朝方早く目が覚めて、以降はなかなか眠れない(二度寝ができない)
- 眠りが浅く、熟眠感がない
- 日中の仕事や学業、家事などの作業に支障がある(疲労感がある、集中できない、よくミスをするなど)
- 日中の気分に変化がある(やる気がでない、イライラする、眠れないことへの不安、ストレスなど)
- 日中の強い眠気(会議中や運転中などに居眠りをしてしまうなど)
1~3は不眠の分類にもよく使われる項目です。1は入眠困難という症状で、寝つきが悪くベットに入ってから寝付くまでに1時間程度かかってしまうこともあります。
2は中途覚醒という症状で、眠りが浅く夜間睡眠中に何度も目が覚める状態です。
3は早朝覚醒という症状で、実際起きたい時間より早く目覚めてしまいその後なかなか眠ることができない状態です。
眠れない結果、日中の精神面・気分の面や作業の面で様々な支障を来している状態が5~7です。日常生活に支障を来しているため、注意が必要です。早期の受診が望ましいです。
2つ以上当てはまる場合は不眠症の可能性が高い
不眠症にも色々な原因があります。上記1~3の症状が1つ以上あり、その結果、日常生活に支障が来した5~7の症状が1つ以上ある場合、それが長期的に見られている場合は不眠症の可能性が高いと言えるでしょう。
考えられる病気によって受診する診療科は異なるため、これからの項目を読んで頂き参考にしてみてください。不眠症の相談をしたい場合は、総合内科など内科でご相談してみるといいでしょう。
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2つ以上当てはまる場合で不眠症以外に考えられる病気
ここからは、上記セルフチェック項目に2つ以上当てはまる場合で不眠症以外に考えられる病気を紹介します。
うつ病
はっきりとした原因はわかっていませんが、精神的・身体的ストレスなどを背景に、脳の働きに何らかの不調が起きることで発症するとされています。
<症状>
気分の落ち込み、何事にも興味が持てない、不安、食欲低下、疲れやすい、頭が重い・頭痛、首や肩のこりなど。
<セルフチェック方法>
日常生活で大きな環境変化(引っ越し、失恋、親しい人との別れなど)があった後に上記の症状が見られている場合は注意が必要です。
<診療科目>
心療内科、精神科
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睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一時的に無呼吸になり、日中の眠気や集中力低下、身体のだるさなどが出現し、将来的には高血圧、心不全などの心血管系への影響もある病気です。
睡眠中は無呼吸のため、良質な睡眠が得られず睡眠障害を伴います。
<症状>
日中の眠気・集中力低下、身体のだるさ、頭痛、熟眠感が無い、夜間のいびき・睡眠中の無呼吸を家族などから指摘されるなど。
<セルフチェック方法>
自分では寝ている際のいびきや無呼吸は感じることができないため、家族に状況を確認するといいでしょう。日中の会議中や運転中など眠ってはいけない状況で激しい眠気を感じ居眠りをしてしまう場合、夜間息苦しくて目が覚めたり、起床時に熟眠感が無いか確認しましょう。
<診療科目>
呼吸器内科、耳鼻科
むずむず脚症候群
足の異常な感覚(虫が這うような感覚、むずむずするなど)により、足を動かさずにはいられなくなる病気で、特に夜間に見られることが多いです。
原因がはっきりわからないことも多いですが、鉄欠乏性貧血、糖尿病、血液透析などに関連して症状が出現することもあります。
<症状>
足の異常な感覚(虫が這うような感覚、むずむずするなど)、足を動かすと症状がおさまることが多いなど。
<セルフチェック方法>
上記のような症状がないか確認してみてください。
<診療科目>
神経内科
概日リズム睡眠障害
体内時計によって睡眠や覚醒のリズムを整えていますが、この体内時計が乱れることで睡眠時間が夕方に早まってしまったり、就寝時間が来ても眠気が来なかったりします。
概日リズム障害には様々なタイプがあり、朝方に寝つき昼過ぎに覚醒する睡眠後退型、夕方に強い眠気が生じて午前3時頃に覚醒する睡眠相前進型などがあります。
<症状>
頭痛、倦怠感、食欲不振、眠気、集中力低下、抑うつ気分など。
<セルフチェック方法>
就寝、起床時間が大きくずれている場合や日中の強い眠気、集中力低下が見られないか確認してみてください。
<診療科目>
精神科、心療内科
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不眠症の原因
寝室の環境が不適切であることから病気が隠れている可能性まで、眠れない原因は多岐にわたります。
最も基本的ですぐに改善できるものとしては、睡眠環境ではないかと考えます。室温、寝具、明かりなどが睡眠に適切でない場合は自然と眠りも悪くなってしまいます。
家庭や職場などでの様々なストレスは眠りへ悪影響を及ぼします。生活習慣の乱れもとても重要な問題であり、生活習慣が乱れることで体内時計が乱れ、就寝時間や起床時間などへも影響することが考えられます。
睡眠前のカフェイン摂取、アルコール摂取、睡眠前の食事なども睡眠の質が低下する原因となります。睡眠前のスマーフォン操作は眠りを遠ざけてしまうため控える方がいいと言えます。
これら以外にも、精神的な病気や内科的な病気、睡眠自体の病気などが原因となっている場合もあります。
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不眠症の治し方
病気が原因である場合は、病気を治すことが不眠の改善につながります。
それ以外の問題である場合は、日常生活上での少しの注意、改善により不眠が解消される可能性があります。生活する上では下記の内容に注意し、それでも改善に乏しい場合は、主治医と相談し睡眠薬を使用することも考えられます。
- どの様にしてでも眠らなければならないという概念を消し去る
- 睡眠前の飲酒、アルコール摂取、食事摂取は控える
- 睡眠前は静かな音楽やアロマを焚き、温かい飲み物を飲むなどリラックスできる環境を整える
- 日頃の運動習慣をつけ、寝る前は軽いストレッチなどを行う
- 睡眠前のスマートフォン操作、動画視聴は絶対に避ける
- 毎日、決まった時刻に起床するようにする
- 起床後は窓を開け、太陽光を部屋に入れ浴びる
- 昼寝は遅くても15時まで、長くても30分程度にする
- 朝食を摂取するなど、規則正しい生活を心がける
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【1分で完了】起立性調節障害のセルフチェックをしてみよう
起立性調節障害という病気をご存知でしょうか。
自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで早朝起床困難、めまい、ふらつき、失神、腹痛、頭痛など実に様々な症状を来す病気です。
一般的には、成長期にある中学生~高校生の子どもに多い病気ですが、ストレスや生活習慣の乱れなどが原因で大人でも見られる可能性があります。
起立性調節障害は様々な身体的な不調を来すほか、睡眠へも影響することが知られています。自律神経は時間帯によって、交感神経と副交感神経のどちらの神経が主に働くかが概ね決まっています。
しかし、起立性調節障害の方の場合、本来早朝起床時に優位になるはずの交感神経の活性が遅れ、朝なかなか起き上がることができません。
また、夜間睡眠時に優位になるはずの副交感神経の活性が遅れ、消灯時間になっても眠気を全く感じないことも多いです。したがって、就寝時間が大幅に遅れ、起床も大幅に遅れるというような睡眠のリズム障害が見られやすいと言われています。
下記の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについて具体的に解説しておりますので、是非ご一読ください。
>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
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【参考文献】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
不眠症|e-ヘルスネット(厚生労働省)
睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン