中学生の約10%に及ぶ「起立性調節障害」ですが、思春期の時期に発症するケースが多い病気です。症状を改善させるには、栄養面のサポートが大切になります。
本記事では、起立性調節障害を改善するための栄養素やおすすめの食事について解説します。毎日の食事の参考にしてみてください。
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起立性調節障害の方が摂取したほうがよい栄養素
まずは、起立性調節障害を改善するための栄養素から解説します。
大前提として頭に入れておいていただきたいのが、起立性調節障害の症状を改善するための特定の栄養素があるわけではないということです。症状を改善するためには、バランスのいい栄養素を摂取することが何よりも大切になります。
そのなかでも、特に摂取していただきたい栄養素を解説します。
<たんぱく質>
皮膚・筋肉・髪など、人の体のほとんどはたんぱく質から作られています。つまり、たんぱく質が不足すると体に不調が出やすくなるのです。
たとえば、頭の回転が遅くなったり免疫力が落ちたりと、体の機能に様々な影響を及ぼします。
中学生は体が成長する時期。体を作るために大切なたんぱく質を、積極的に摂取するようにしましょう。
<ビタミン類>
身体の調子を整えるために大切なのが、ビタミン類。なかでも、ビタミンB群は積極的に採りたい栄養素です。
ビタミンB群が不足すると、睡眠の質が悪くなったり集中力が欠けたりします。起立性調節障害の症状として現れやすいものも多いので、ビタミンB群を意識して摂りましょう。
<鉄分>
起立性調節障害は、鉄欠乏性貧血との合併により症状がひどくなっているケースもあります。貧血を改善するには、鉄分の摂取が大切です。
鉄には、ほうれん草といった植物性の食品に含まれる「非ヘム鉄」と、レバーなどの赤身の肉に含まれる「ヘム鉄」があります。
ヘム鉄の方が、鉄を効率的に吸収できます。そのため、ヘム鉄が豊富な食品を積極的に食べると改善に繋がります。
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推奨されている1日の摂取量
起立性調節障害を改善するために必要な栄養素を、1日にどのくらい摂取したらいいのでしょうか。ここでは、1日に取りたい各栄養素の摂取量についてお伝えします。
<各栄養素の目安>
年齢によって、1日の食事摂取基準というものが定められています。先ほどご紹介した栄養素の目安は以下のとおりです。
◆12~14歳の摂取基準の目安
たんぱく質=男性:60g、 女性:55g
ビタミンB1=男性:1.4mg、女性:1.3mg
鉄=男性:10mg、女性:8.5mg
体が大きく成長する思春期なので、特にたんぱく質は、大人よりも多くの量が必要となります。食事のときは多く食べさせるようにしましょう。また、月経がある場合は、鉄の目安量は12mgとなります。
<水分>
起立性調節障害は水分が不足することも原因の一つです。
汗や尿など、1日で排出される水分は約2.5リットル。1日に摂取する水の量はそれと同等以上が必要です。
約1リットルは体の中で作られるため、残りの1.5~2リットルを意識的に摂取しなければいけません。
・食事をするときはできるだけお味噌汁やスープを飲む
・食後にお茶を飲む習慣をつける
・喉が渇いていなくても、こまめに水分を摂取する
このように、1日の中で水分を意識して取るようにしましょう。
<塩分>
また、起立性調節障害の症状を改善するには、塩分を摂取することも大事です。
塩分には、体の水分を保ち血圧が下がるのを防ぐ働きがあります。
いつもの食事に2~3g、塩分を多めに入れるといいでしょう。
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起立性調節障害の方にオススメの食事
起立性調節障害のお子さんにおすすめのメニューを解説します。
まずは、お味噌汁です。水分と塩分が同時に取れます。具沢山にすると栄養も豊富に取れるので1日1回は飲むようにしましょう。
また、豚肉のしゃぶしゃぶサラダもおすすめです。豚肉にはビタミンBが豊富に含まれています。また、亜鉛や鉄などのミネラルもあります。サラダにすることで野菜も一緒に食べられるので、改善に必要な栄養素を賢く摂取することができますよ。
食べるときに押さえておいていただきたいポイントもあります。これからお伝えすることを意識して頂き、効率的に栄養を取り入れましょう。
<三食しっかり食べる>
朝・昼・晩の3食をしっかり食べるようにしましょう。このとき、食事は決まった時間にとることがポイントです。食事の時間を一定にすることで、体のリズムも整うようになります。
また、食べる時間を決め、ダラダラ食べないようにすることも大切です。
<一汁三菜を意識する>
パンだけ、お肉だけというように、1品で終わらせると栄養に偏りが出てしまいます。食事で水分をとることも大切です。メインのおかずだけでなく副菜や汁物を加えた、一汁三菜を意識して献立を考えましょう。
起立性調節障害の方が控えたい栄養素
反対に、起立性調節障害の症状が出ている時に控えたい栄養素を解説します。
控えたい栄養素は、糖質です。糖質を摂ると血糖値が上がり、血糖値を下げるためのホルモンが多く出ます。そして血糖値が急降下し、低血糖を引き起こすのです。低血糖になると血流が悪くなり、頭痛やイライラなどの症状が出やすくなってしまいます。
また、お菓子も控えましょう。小麦粉や砂糖が多く使われているため、血糖値を上げる危険性があります。甘くないスナック菓子やお煎餅も糖質が含まれているので、避けた方がいいです。
食事以外で摂取するお菓子などの糖質が問題になるので、主食として摂取するお米などの糖質は大きく制限する必要はありません。3食をバランスよく、しっかり摂ることで間食も減るので、3回の食事を意識することを心がけましょう。
ここまで、栄養面から見る起立性調節障害についてお伝えしました。お子さんの症状を改善するために、親として色々なことをしてあげたいと思われているのではないでしょうか。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)