眠れないことは誰にでも経験があると思います。医療機関を受診するほどではない場合、自力で治す方法はあるのか。
こちらの記事では、不眠の原因や自力で治す方法について解説していきます。
不眠症を自力で治す方法
不眠症で悩んでいる期間が短く、特に日常生活で大きく困っていない場合、不眠症を自力で改善させることができる場合があります。
不眠症を自力で治す方法についてご紹介していきます。
太陽の光を浴びる
私たちの睡眠と深く関わっているのがセロトニンという物質です。セロトニンは日中に日光を浴びることで生成され、午後にはメラトニンという別のホルモンに変わります。メラトニンが増えることで眠気を来し、夜の睡眠に導きます。
また、日光に浴びることで体内時計をリセットする効果もあります。
日光に浴びることが少ない場合、夜間の眠りが浅くなり、体内時計もズレてしまい生活習慣が乱れる原因になります。起床後は朝日を部屋に取り込みましょう。
光目覚まし時計であれば自宅にいながら日光と同程度の光を浴びることができます。天候や季節に左右されなく安定して光を浴びることができるので、取り入れる方も増えているところです。
睡眠について完璧を求め過ぎない
不眠症で悩んでいる方の中には完璧な睡眠を求めすぎている場合があります。
少し寝つきが悪いことや予定より早く目覚めることは誰にでもあることで、ある一定時間睡眠できていれば大きな心配は必要ありません。むしろ完璧を求めるあまり神経質になりより眠れないということもよくあります。
寝床にしがみつかない
眠れない夜、暗い部屋の布団の中でじっとしていると、次第に布団が眠れない場所だと脳が認識してしまう可能性があります。
また、夜、暗い中部屋でじっとしていると、考える必要がないことを考え始める傾向があるのです。ストレスに感じていることや不安、悩みなどを繰り返し考えてしまい、さらに眠ることができない状態になりかねないのです。
眠れない時は、ソファーなどでゆったり過ごし、眠たくなった後に布団に入るのが良いのではないかと考えます。
睡眠に悪影響を及ぼす習慣をやめる
眠れない時、最も行ってはならないのがスマートフォン操作です。
なかでも、スマートフォンで動画見ることは眠りを最も遠ざけることと言っても過言ではありません。スマートフォンからはブルーライトが放たれ、睡眠を誘導するメラトニンという物質の分泌量を低下させてしまうのです。
また、スマートフォンはテレビなどと異なり、眼からの距離が非常に近いためブルーライトを比較的大量に浴びることになってしまいます。
動画を10分見ることはカフェインが含まれているコーヒー5杯分程度の覚醒度とも言われており、夜間のスマートフォン操作は控えて頂く方が良いと考えます。
さらに、睡眠前の食事、飲酒、アルコール摂取は眠りを妨げるため、控えた方が良いでしょう。
午後の仮眠は眠れない原因になることがあるので、仮眠をとる場合は遅くても15時まで、20分程度にしておく方が良いでしょう。
睡眠前のリラックス時間をつくる
睡眠前は副交感神経が優位に働きます。副交感神経を刺激することで眠りやすい状態になります。
ヨガや軽いストレッチで身体の緊張をほぐし、落ち着いた音楽や温かいハーブティー、アロマを使用したり、睡眠前はゆったり過ごすと良いでしょう。
日頃の運動習慣
基本的に、私たちは日中活動することで自然と日が落ちた夜には眠りにつくことができる状態になっています。
適度な運動習慣は睡眠を促すことができます。また、睡眠前に少しストレッチなどをすることも効果的です。
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不眠症を自力で治せる状態
不眠症は大きく4つのタイプがあります。
- ①ベットに入ってから寝付くまでに時間がかかる―入眠困難
- ②睡眠中に何度も目が覚めてしまう―中途覚醒
- ③朝方早く目が覚めて、以降はなかなか眠れない(二度寝ができない)—早朝覚醒
- ④眠りが浅く、熟眠感がない―熟眠障害
これらの症状が慢性的に続くことで日常生活に支障を来した下記の状態になっていきます。
- ⑤日中の仕事や学業、家事などの作業に支障がある(疲労感がある、集中できない、よくミスをするなど)
- ⑥日中の気分に変化がある(やる気がでない、イライラする、眠れないことへの不安、ストレスなど)
- ⑦日中の強い眠気(会議中や運転中などに居眠りをしてしまうなど)
①〜④の症状が見られていて、日常生活に支障を来していない段階の場合は自力で不眠症を改善させることが可能と考えます。
上記でご説明した方法を試してみてください。良い習慣を身につけ睡眠を改善してみてください。
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不眠症を自力で治せない状態
①~④の症状が長きにわたり継続している場合、⑤~⑦のような日常生活に支障を来す状態になっていることが予想されます。この状態でも、睡眠の良い習慣を心がけることは非常に重要です。
しかし、不眠を来す別の疾患が隠れている場合、自力で治療することは非常に困難と言えます。下記の症状が見られている場合は早期に医療機関を受診することをおすすめします。
- 睡眠中の一時的な無呼吸、いびきがある
- 特に夜間に見られる足の異常な感覚(虫が這うような感覚、むずむずするなど)
- 就寝時間、起床時間などの睡眠パターンに異常がみられている(朝方に寝つき昼過ぎに覚醒する、夕方に強い眠気が生じて午前3時頃に覚醒するなど)
- 何事にも興味がわかず、気分が落ち込む
- 覚醒時、気持ちの高ぶりやびっくりした際に身体の一部が脱力することがある
- 悪夢を見ることが多く、夢に反応する形で睡眠中に大声を上げる、怒鳴る、手足を動かすなどを指摘される
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不眠症の原因
眠れない原因は、枕やマットレスなどの睡眠環境が不適切、病気の可能性など多岐に渡ります。
すぐに改善できるものとしては、枕やマットレス、布団を変えるなどの睡眠環境ではないかと考えます。室温、寝具、明かりなどが睡眠に適切でない場合は自然と眠りも悪くなってしまいます。
家庭や仕事などでのストレスは睡眠へ悪影響を及ぼします。生活習慣の乱れもとても重要な問題であり、生活習慣が乱れることで体内時計が乱れ、就寝時間や起床時間などへも影響することが考えられます。
就寝前のカフェインやアルコールの摂取、食事なども睡眠の質が低下する原因となります。また、就寝前のスマートフォンの操作は眠れなくなってしまうため控えたほうがよいでしょう。
これら以外にも、精神的な病気や内科的な病気、睡眠自体の病気などが原因となっている場合もあります。
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不眠症の治し方
病気が原因である場合は、病気を治すことが不眠の改善につながります。
それ以外の問題である場合は、日常生活上での少しの注意、改善により不眠が解消される可能性があります。
- 必ず眠らなければならないという概念をやめる
- 就寝前の飲酒やアルコール、食事は控える
- 毎日、決まった時刻に起床するようにする
- 起床後は窓を開け、太陽光を部屋に入れ浴びる
- 朝食を摂取するなど、規則正しい生活を心がける
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もしかしたら起立性調節障害の可能性がある
起立性調節障害という病気をご存知でしょうか。この病気は思春期によく見られる病気の一つであり、睡眠に支障を来します。
起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経の調整のバランスが崩れることで様々な症状がみられる病気です。典型的には、朝起き上がれない、午前中は頭痛やめまい、ふらつき、全身倦怠感などの様々な症状が見られ調子が悪く、午後にかけて次第に症状が改善します。
午前中は集中力や注意力が散漫で、ベッド上やソファーで横になっていることも多く、午後には症状は改善していき、逆に就寝時間になっても眠気が見られず、夜更かしをしてしまう状態になります。
起立性調節障害は睡眠の質やリズム障害を来します。子どもに多い病気ではありますが、大人でも見られることがあり注意が必要です。眠れない以外にも、体調不良が続いている場合、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
以下の記事では、起立性調節障害のセルフチェックについてご紹介しております。是非一度ご覧ください。
>>起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
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