「眠いのに夜になると眠れない」「寝ていても途中で目が覚めてしまう」このような症状にお悩みの方も少なくないのではないでしょうか?
誰しも眠れない夜を過ごすことはありますが、このような症状が継続する場合は不眠症の可能性があります。
不眠症に陥ると夜眠れないだけでなく、朝も起きることができなくなり通学や通勤に支障をきたすでしょう。また、日中の業務にも集中できなくなり、学業や仕事にも影響ができす。
不眠症にはさまざまな原因があり、睡眠時無呼吸症候群やうつ病などの病気によるものであれば専門の医療機関での治療が必要となるでしょう。一方で、生活習慣によるものや就寝環境によるものであればセルフケアでも改善できる可能性があります。
本記事では不眠症が治ったきっかけを体験談を紹介します。不眠症が改善した他の人の体験談を知ることで、自分では気付けなかった不眠症の原因や治し方を知ることができます。ぜひ、ご一読ください。
不眠症が治ったきっかけ・治った体験談
不眠症にはさまざまな原因が挙げられ、その原因によっても治す方法は異なります。ここでは、実際に不眠症が治ったきっかけ・治った体験談を6ケース紹介します。
どれも日常生活におけるちょっとした工夫や生活習慣の改善など、実践可能なものばかりなので、参考にして心地良い睡眠を手に入れましょう。
M.Tさん(中学2年:女性)の場合
中学2年生の女の子であるM.Tさんは、スマホ購入をきっかけに夜更かしする機会が増えていました。眠る直前までスマホで友人とチャットしたり、ゲームに興じていたためです。
徐々に朝起きる時間が遅くなった結果、さらに夜に眠れなくなる悪循環に陥り、午前中は遅刻する日も増えたそうです。そこで、病院に受診したところ睡眠相後退症候群の可能性を指摘されました。
医師には、就寝前の光刺激は睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制するため、不眠症になるリスクが高まると言われ、就寝の2時間前までにはスマホやテレビの光刺激を避けるように指示されたそうです。
実践したところ、最初はベッドの中でなかなか寝付けなかったそうですが、2週間ほど経つと徐々に就寝時間や起床時間が改善し、不眠症状も消失しました。
朝早く起きることで太陽光を浴びる時間も増え、体内時計の乱れも改善することで後退していた睡眠相も改善できます。特に若年者では、就寝直前のスマホいじりで寝不足になる方が増えているため、注意しましょう。
Y.Mさん(中学3年:男性)の場合
中学3年生の男の子であるY.Mさんは、高校受験を控えて勉強に明け暮れる日々を過ごしていました。夏休み中は夏期講習のため毎日塾に通い、夜まで勉強していましたが、寝ようとする時間に目が冴えてしまい眠れない日々が続いていました。
朝は起きれるものの、前日の夜になかなか眠れなかったこともあり、寝不足状態が続き日中の学業にも支障をきたしていたため、親御さんに相談したそうです。
Y.Mさんの場合、勉強中にコーヒーを飲む癖があり、夜眠る直前まで飲んでいたため、コーヒーが原因で眠れない可能性を考えたそうです。実際に、コーヒーに含まれるカフェインには中枢神経の興奮作用があるため、不眠の原因となります。
そこで、夕食以降はコーヒーを摂取しないように心がけたところ、普段通りの入眠を得ることができるようになったそうです。カフェインはコーヒー以外にもお茶やエナジードリンクにも豊富に含まれるため注意が必要です。
どうしてもコーヒーを飲みたい場合は、カフェインレスのコーヒーにするか、就寝の3〜4時間前までに飲み終えるように意識すると良いでしょう。
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M.Hさん(高校2年:女性)の場合
高校2年生のM.Hさんは、美意識が高く痩せ志向の強い女の子でした。高校入学以降はその傾向が強まり、食事は少量しか摂取せず、食べ過ぎたと感じると自分で嘔吐して食事を吐き出していたそうです。
高校2年生になった時には過度に痩せてしまい、家族や友人から心配されるようになっていました。痩せとともにこれまで順調だった生理周期も乱れ、生理が2ヶ月以上来ない時もあったそうです。
それに伴い、夜間に寝付けなくなる不眠症状も出現し、そのストレスで夜食を摂取しては嘔吐するような日が続いていたため、家族に連れられて医療機関を受診しました。
摂食障害の診断とともに、過剰な痩せは女性ホルモンの乱れをきたし、女性ホルモンの乱れは自律神経の乱れにもつながるため、不眠の原因となります。医師には、心理的教育と、食事療法を指示されました。
時間をかけて徐々に食事摂取量は改善し、生理周期の改善とともに不眠症状も落ち着いたそうです。更年期障害などを含む女性ホルモンの変動は不眠の原因となるため、女性では注意が必要です。
T.Kさん(会社員:20代男性)の場合
もともと実家暮らしの男性会社員(20代)であるT.Kさんは転勤をきっかけに引っ越し、新しい部屋で一人暮らしを始めました。急な転勤であったことから部屋を整える時間はほとんどなかったそうです。
しかし、引越してからというもの、夜間に起きてしまうことが増えたそうです。
疲れて眠りについた後にもかかわらず夜中途中で起きてしまい、朝には疲れが取れずに日中眠気を自覚する日々が続いていました。仕事にも影響が出ていたため、医師に相談したところ就寝環境を整えるように指示されました。
実家暮らしの時と違い、薄い敷布団は体に負担がかかり睡眠の質を低下させます。また、部屋にカーテンがなく遮光されていないため、夜間に光刺激が入ってきて脳が十分休むことができない環境でした。
さらに、気温や湿度の変化も睡眠中の身体のストレスとなります。エアコンや加湿器などを用いて、快適な就寝環境を整えることが良質な睡眠を得るためには重要です。
T.Kさんは就寝環境を整えたところ、夜間の中途覚醒を認めなくなり、朝もすっきり目覚められるようになったそうです。就寝環境は誰でも簡単に改善できるため、不眠にお悩みの方は一度見直してみるといいでしょう。
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H.Fさん(会社員:30代女性)の場合
30代の会社員であるH.Fさんは、仕事量が増えて肉体的には疲れていたにも関わらず、睡眠中に途中で起きてしまうことが増え、朝起きても寝不足感を自覚していたそうです。
日中にも眠気でうまく頭が回らない日々が続いたため、医療機関を受診したところ、生活習慣を改めるように指導されました。H.Fさんは仕事量の増加と比例するように、夜の飲酒量や喫煙量が増加していたようです。
お酒を飲むと寝つきが良くなると思われがちですが、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドには覚醒作用があり、中途覚醒の原因となることが知られています。また、利尿作用もあるため夜間にトイレに行きたくもなるでしょう。
また、アルコールや喫煙は上気道の炎症・浮腫を招き、気道が狭くなるため、取り込める酸素の量が低下して、脳が十分に休息することができなくなります。
H.Fさんは飲酒量や喫煙量を抑えるように努めたところ、比較的すぐに中途覚醒がなくなり、スッキリとした目覚めを得られるようになりました。特に就寝直前の飲酒や喫煙には注意しましょう。
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S.Yさん(会社員:50代男性)の場合
50代の男性会社員であるS.Yさんは、以前から睡眠中に起きてしまい、朝も疲労感を強く感じたり、日中に強い眠気を感じていたそうです。仕事のストレスや激務で深夜に暴食してしまう機会が増え、それに伴い日中の眠気症状も増していったそうです。
家族からは以前からいびきで寝苦しそうだと指摘されていたこともあり、医療機関を受診したところ、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと指摘されたそうです。
睡眠時無呼吸症候群は気道が狭くなることで睡眠中に取り込める酸素の量が減少し、脳が十分に休息できなくなる病気です。いびきによる中途覚醒も増え、睡眠の質が低下することも知られています。
S.Yさんの場合、暴飲暴食による肥満が症状を悪化させたと考えられ、ダイエットするように指示されました。3ヶ月間のダイエットで体重は20kgも減少し、肥満解消とともにいびきや眠気も改善したそうです。
肥満解消には食事療法と運動療法の併用が最も効果的であり、S.Yさんの実践したダイエットは、低糖質・低脂質・豊富な野菜の食事を3食規則正しく摂取し、週に少なくとも3日は30分のランニングをすることでした。
肥満度を表す指標であるBMI(kg/㎡)が25以上の方は、肥満に伴う睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため注意しましょう。
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不眠症の原因
不眠症の原因は人によってさまざまですが、大きく2つに分けられます。
1つは、乱れた食生活や運動不足などの生活習慣、もしくは睡眠の質を低下させるような就寝環境など、セルフケアで改善可能な原因です。
これらの原因の場合、自分の睡眠にとって悪い要因がなんであるかを自覚さえできれば、比較的簡単に改善可能であり、得られる効果も即効性があります。
もう1つは、うつ病や脳血管障害・うつ病・睡眠時無呼吸症候群・むずむず脚症候群など、不眠症状を伴う疾患が背景に隠れている場合であり、この場合はセルフケアでの改善は困難でしょう。
医療機関でそれぞれに対し適切な治療が必要であり、改善するためには時間もかかることが多いため、早期発見・早期治療が必要となります。
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不眠症の治し方
不眠症を治すステップとして、最も重要なことは自身の生活習慣や生活リズムを見直すことです。自分の生活のルーティンの中に不眠の思わぬ原因が隠れているケースも少なくないからです。
例えば、不眠症を解消するために運動習慣を見に付けても、就寝直前に運動しているようであればかえって逆効果です。入浴も同様で、少なくとも就寝の2時間前には入浴や運動を済ませないと睡眠の質を低下させる可能性があります。
このように、睡眠に良かれと考えた行動が睡眠の質を低下させる可能性もあるため、正しい知識を持って自分の生活習慣を鑑みる必要があります。
また、不眠症状の他にもなんらかの症状がある場合は、注意が必要です。不眠症の背景になんらかの疾患を発症している可能性があり、場合によっては命に関わる危険性もあるため、早期に医療機関での専門的な治療が必要となるでしょう。
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もしかしたら起立性調節障害の可能性がある
不眠症でお悩みの方の中には、もしかしたら起立性調節障害を発症している可能性もあります。
起立性調節障害とは、肉体が急激に成長する小学生高学年から中学生にかけて発症しやすい身体疾患であり、自律神経が乱れることが原因と考えられています。
自律神経の乱れは睡眠以外にも、血圧や脈拍・体温・内臓の運動などに影響を与えるため、起立性調節障害を発症すると不眠以外にもさまざまな症状をきたすことが知られています。
そこで、下記記事では子どもが起立性調節障害かどうかセルフチェックする方法について詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
◆起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト
また、起立性調節障害は子どもだけでなく、大人でも発症する方がいます。発見や治療が遅れればその分社会活動にも影響が出るため、下記記事で紹介しているセルフチェックを参考に早期発見に努めましょう。
関連記事:不眠症は何科を受診すべき?内科でもいいのか解説|病院に行くタイミングも紹介
関連記事:不眠症を自力で治す6つの方法|自力で治せる状態や治せない状態も紹介
関連記事:不眠症に効果的な薬を解説|おすすめの市販薬や副作用も紹介
関連記事:不眠症の症状とは?チェック方法やうつ病との関連性を解説
【参考文献】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
厚生労働省(摂食障害)
厚生労働省(睡眠相後退(前進)症候群)
厚生労働省(睡眠時無呼吸症候群)
JBA(眠りと健康)
VIATRIS