ストレス社会の現代において、ストレスが体調に影響することは多く、起立性調節障害もストレスにより症状が増悪することが多いため心身症と言うことができます。
この記事では起立性調節障害と心身症について解説していきます。
関連記事:起立性調節障害の子供に親ができること・治し方・治った方の事例
心身症とは
心身症診断・治療ガイドラインによると、心身症とは以下の様に定義されています。
日常臨床で遭遇することの多い疾患の中でも、心理社会的因子がその病態形成に深く関与し、一般的な身体治療では慢性化、難治化しやすい疾患、さらには心理社会的要因により心身両面からのアプローチが特に必要とされる疾患である。
つまり、身体症状に心理・社会的因子が密接に関連した病態がある疾患のことで、ストレスが深く関連しているとも考えられます。ストレス関連疾患と考えてもいいかもしれません。
具体的には、過敏性腸症候群、アトピー性皮膚炎、気管支喘息(成人と小児)、緊張性頭痛、片頭痛、接触障害、起立性調節障害などの疾患があります。
心身症と起立性調節障害の関係
起立性調節障害は自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、多様な症状がみられる病気です。私たちの身体は自律神経により呼吸や消化など生命維持に必要な様々な代謝活動の調整を行っています。
交感神経は体を “闘争状態” にする神経で、心臓や筋肉を活性化します。副交感神経は体を“リラックス状態” にする神経で、休養や睡眠に向けて体を休息させます。
交感神経と副交感神経は一様に働いているわけではなく、1日のうちで働き方にはパターンがあります。基本的に、午前中は交感神経が優位に働き、就寝に近づくにつれて副交感神経が優位になっていきます。
朝方になると、睡眠時に活性化した副交感神経から交感神経にスイッチし起床に向けて体を起こしますが、このスイッチがうまくいかない場合、朝なかなか起き上がることができず、午前中も調子が悪いことが多くなってしまうのが起立性調節障害の子どもによくみられる症状の一つです。
しかし、午後になると、徐々に交感神経が活性化され、調子も回復し、放課後には友達と遊んだり部活動に参加することもできることが多いです。
交感神経の活性がずれることで、本来であれば副交感神経が活性化する睡眠時においても交感神経が活性化してしまうことで、睡眠時間が遅くなり、眠くなるまでゲームなどをせざるおえなくなり、結果的に夜更かしをしてしまうのです。
自律神経はストレスや生活習慣の乱れに影響を受けやすいため、この病気では学校や家庭での心理社会的ストレスが症状悪化に影響すると考えられており、不登校の3~4割がこの病気を伴っているとも言われています。
この様な観点から、起立性調節障害は心身症とも言えるのです。
【関連記事】起立性調節障害と他の病気の違い・関連性
心身症型の起立性調節障害の特徴
生活習慣の乱れや心理社会的ストレスが自律神経に影響を及ぼすとされており、学校で人間関係やその他のストレスを抱えていたり、睡眠時間や食事の時間が不規則など生活習慣が乱れている時に症状が悪化しやすい傾向にあります。
生活習慣を見直し、心理的なストレスがある場合はカウンセリングを受けることで症状の改善につながります。
起立性調節障害の治し方の詳細は下記の記事でご紹介していますので、是非一度お読みになってください。
【関連記事】起立性調節障害の治し方
- 起立性調節障害の治し方・親ができること・治った方の事例を解説
- 起立性調節障害を改善するためには乳酸菌が重要-期待できる効果を解説
- 起立性調節障害における「光療法」効果や仕組みを解説
- セロトニン・ストレス・起立性調節障害の関係|セロトニンの分泌方法を解説
- 今すぐ実践できる運動療法|起立性調節障害
- 自宅でできる栄養療法!起立性調節障害にオススメの食べ物などを紹介
- 起立性調節障害に効果的な食べ物(栄養素)とは?1日の摂取量や控えたい食べ物を解説
- 起立性調節障害はプロテイン(タンパク質)で症状が改善されるの?
- 起立性調節障害はサプリで症状が改善されるの?
- 起立性調節障害における硬膜外酸素注入療法とは?期待できる効果を解説