起立性調節障害の症状は主に朝、午前中にみられることが多く、朝なかなか起き上がることができず、苦労されているお子さんやご家族も多いと思います。
好発年齢は中学生前後の学生であるため、朝起き上がることができずに遅刻が重なったり、学校を欠席することも多くなっていき、学業にも影響が出てしまうことも少なくありません。不登校につながる場合もあります。
起き上がれないことでご本人もご家族も不安や焦りなど、とても心配になってしまうと思います。ご家族の方の中には、「無理やりでも起こした方がいいのか」「自然に起きてくるまでは寝かしておいた方がいいのか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、起立性調節障害の方がなぜ起き上がることができないのかという理由を病態から解説し、起こし方や起こす際の注意点も解説していきます。

起立性調節障害で朝起きられないのはなぜ?原因と仕組みを解説
起立性調節障害の方が朝起きられないのは、「怠け」や「気持ちの問題」ではなく、体の働きによるものとされています。
この病気では、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れることで、めまい・立ちくらみ・吐き気・頭痛など、さまざまな不調が現れます。
本来、朝は交感神経が優位になり、体は自然と活動モードへ切り替わります。一方で夜は副交感神経が優位になり、体を休める状態へと移行します。
しかし、起立性調節障害ではこの切り替えがうまくいかず、朝になっても体が覚醒状態になりにくいとされています。そのため、起き上がろうとすると脳への血流が一時的に低下し、めまいやふらつき、強いだるさなどが出やすくなります。
また、朝に不調が強く出る一方で、時間の経過とともに症状が軽くなり、午後からは比較的活動できるケースが多いのも特徴です。
実際に、起立性調節障害の子どもを持つ保護者への調査(n=126)では、「受診を考えたきっかけ」として「朝起きられない状態が続いた」が24.2%と最も多く、「めまいなどの不調を訴えはじめた」も同じく24.2%という結果でした。

出典:起立性調節障害、気づく前に「叱ってしまった」保護者は約7割|一般社団法人 起立性調節障害改善協会のプレスリリース
このことからも、「朝起きられない」という状態は単なる生活習慣ではなく、体調の問題として現れているケースが少なくないと考えられます。
朝の不調が続く場合は、無理に起こそうとするだけでなく、体の状態として理解し、適切な対応を検討していくことが大切です。
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起立性調節障害で朝起きられないときの起こし方|無理なく起こすコツ
起立性調節障害の方にとって、一日の中で最大の難関は早朝起床時です。急に体位を変動させることで症状が出てしまいかねないので、動作はゆっくりと行うことを心がけてください。
毎日できるだけ定時に起床できるようにご本人とご家族で相談し、工夫しましょう。あらかじめ、起床時間や起こし方をご本人とご家族で決めておきましょう。実際に起床する際はあらかじめ決定した手順に沿って焦らずに行いましょう。
就寝前にできる準備
朝の負担を減らすために、前日のうちにできる準備を整えておくことも大切です。
- 目覚まし時計を毎日同じ時間に設定する
- 起床後すぐに水分補給ができるよう、飲み物を用意しておく
- 処方されている薬がある場合は、すぐ服用できるよう手元に準備しておく
こうした準備を習慣化することで、朝の行動がスムーズになり、起きやすい環境づくりにつながります。

起床時の正しい対応
朝の起こし方については、「どうやって起こすか」だけでなく、どのような意識で対応するかも重要とされています。
実際に、起立性調節障害の子どもを持つ保護者への調査(n=126)では、「子どもへの対応として意識していること」として、「体調を優先するようにしている」が25.3%と最も多く、「叱るより声かけを意識している」「睡眠環境や生活リズムを整えるよう配慮している」がいずれも15.6%という結果でした。

出典:「毎日登校」から「グラデーション登校」へ。起立性調節障害の子ども、4割が「起きられた日に通う」を選択|一般社団法人 起立性調節障害改善協会のプレスリリース
この結果からも、無理に起こすことよりも、体調や状態を考慮しながら対応している家庭が多いと考えられます。
そのため、起こし方も「一度で起こす」ことを目指すのではなく、体への負担を抑えながら段階的に覚醒を促すことが大切です。
具体的には、以下のような流れで少しずつ起こしていくことが推奨されます。
- 目覚ましだけでは起床できないことが多く、ご家族は「朝になり起床時間になっていること」を穏やかに声掛けする
- 窓を開けて、太陽の光を部屋に入れる
- 水分や処方されている薬を服用する
- 声掛けを繰り返し行う
起き上がってから立ち上がるまでの手順
- 横になったまま腕枕などで頭を少し上げる
- ゆっくりと起き上がり、ベッド上で座位を保つ(少しうつむいたままの姿勢が良い)
- 足を下ろして、頭は下に下げ、前かがみになり、そのままゆっくりと立ち上がる
- 立ちあがった後もうつむいた姿勢でゆっくりと歩きだす
急激に起き上がったり、立ち上がると、脳血流が低下しやすくなるため、全ての動作はそーっと、ゆっくり行うことが非常に重要です。
上記の手順を見ると、ご本人、ご家族が協力することがとても重要になります。ご本人が自分の病気のことを正しく理解できていない、朝起きる気持ちがなければ、ご家族の協力は意味をなさなくなってしまいます。
親子で病気の理解を深め、話し合い、ちょうどいいペースを見つけていってください。
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起立性調節障害の朝の起こし方の注意点|やってはいけないNG対応
起立性調節障害の方を朝起こす際は、起こし方だけでなく「避けるべき対応」を理解しておくことも大切です。
無理に起こそうとすることで、かえって症状が悪化したり、ストレスにつながる可能性もあるとされています。
ここでは、朝の対応で意識したいポイントと、やってしまいがちなNG対応について解説します。
生活リズムと体調を優先した対応が大切
起こし方も重要ですが、それ以上に「どのような前提で対応するか」が大切です。無理に起こすことを優先するのではなく、体調や生活リズムを整える視点を持つことが重要とされています。
まずは、睡眠時間や生活リズムを見直すことが基本になります。朝は日光を浴び、起床後は水分を摂取し、処方された薬がある場合は適切に服用するなど、体をゆっくりと覚醒させる流れを意識しましょう。
また、眠くなくても毎晩できるだけ同じ時間にベッドに入り、朝も決まった時間に声掛けとともに起床する習慣をつくることが大切です。食事の時間も含めて、1日のリズムを整えていくことで、徐々に朝の状態が安定してくることがあります。
起こす際には、強く体を揺さぶったり、怒鳴るような対応は避けましょう。ご本人は起きたくても起き上がれない状態のため、強い刺激やプレッシャーがストレスとなり、症状の悪化につながる可能性があります。
朝はどうしても時間に余裕がなくなりがちですが、できる範囲で落ち着いた声掛けを意識し、余裕を持って複数回に分けて起こすことが大切です。
下記記事では、起こし方以外でご家族ができる介入方法などを解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
登校は無理せず体調に合わせて調整する
起立性調節障害では、朝の体調によって登校状況にも影響が出ることがあります。
実際に、起立性調節障害の子どもを持つ保護者への調査(n=108)では、「現在の通学状況」として「起きられた日は登校している」が40.7%、「ほぼ毎日通常どおり登校している」が38.9%という結果でした。
一方で、「通信制・オンライン学習を利用している」「授業の一部のみ参加している」といったケースも見られ、体調に応じて通い方を調整している家庭も一定数あることがわかります。

出典:「毎日登校」から「グラデーション登校」へ。起立性調節障害の子ども、4割が「起きられた日に通う」を選択|一般社団法人 起立性調節障害改善協会のプレスリリース
このことからも、無理に毎日同じペースで登校を目指すのではなく、その日の体調に合わせた対応を前提に生活リズムを整えていくことが大切と考えられます。
登校についても、体調に合わせた柔軟な対応を意識しながら、ご本人とご家族で無理のないペースを見つけていきましょう。
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【参考】
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)






