学校の朝礼や長時間立っているときに、子どもが突然意識を失って倒れると、保護者の方は大きな不安を感じるでしょう。
子どもの失神には、神経調節性失神や起立性低血圧、心臓に関わる病気など、さまざまな原因があります。また、起立性調節障害でも、長時間立っているときの気分不良や立ちくらみ、失神などが見られる場合があります。
失神の原因によって必要な対応は異なるため、起立性調節障害と決めつけず、医療機関で原因を確認することが大切です。
この記事では、起立性調節障害に伴う失神の原因や特徴、失神が起きたときの対処法、医療機関で行われる治療について解説します。

起立性調節障害による「失神」の原因
まずは、失神とはどのような症状なのか、その仕組みから解説します。
失神とは、脳全体への血流が一時的に低下することで、短時間意識を失う状態です。意識を失うと姿勢を保てなくなり、その場に倒れることもあります。
一般的に、失神には次のような特徴があります。
- 意識がなくなる
- 一時的である
- 急に発症する
- 短時間である
- 自然に意識が回復する
失神の原因は、大きく神経調節性失神、起立性低血圧、心原性失神の3つに分類されます。
子どもに比較的多く見られるのが、神経調節性失神です。長時間立っているときや、強い痛み・緊張を感じたときなどに、自律神経の働きによって血圧や心拍数が変化し、脳への血流が一時的に低下することで起こります。
一般に「脳貧血」と呼ばれることもありますが、血液中の鉄分やヘモグロビンが不足する貧血とは異なります。
起立性低血圧は、立ち上がったときに血圧が低下し、めまいや立ちくらみ、失神などが現れる状態です。
心原性失神は、不整脈や心臓の病気などによって、脳へ送られる血液が一時的に不足することで起こります。
一方、起立性調節障害は、これら3つの失神分類そのものではありません。立ち上がったときの血圧や心拍数の調節がうまくいかないことで、起立性低血圧に関連する症状や、神経調節性失神に似た症状が現れる場合があります。
人が起き上がったり立ち上がったりすると、重力の影響によって血液の一部が下半身へ移動します。通常は、自律神経の働きによって血管の収縮や心拍数が調節され、血圧や脳への血流が保たれます。
起立性調節障害では、こうした起立時の調節がうまくいかず、立ち上がったときや立っているときに、めまい、立ちくらみ、気分不良、失神などが現れることがあります。
ただし、失神したことだけで、起立性調節障害や神経調節性失神、起立性低血圧と判断することはできません。心臓に関わる病気など、ほかの原因がないか医療機関で確認することが大切です。
起立性調節障害の症状の現れ方には、次のような要因が影響することがあります。
- 慢性的なストレス、緊張状態
- 睡眠や食事など生活習慣の乱れ
- 運動不足や体力・筋力の低下
これらは起立性調節障害や失神の直接的な原因と一律に判断できるものではありませんが、症状を強く感じる要因になることがあります。
起立性調節障害では、失神だけでなく、立ちくらみやめまい、頭痛、動悸、倦怠感などが現れることがあります。起立性調節障害で見られる主な症状については、下記の記事も参考にしてください。
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起立性調節障害による「失神」の特徴
起立性調整障害に伴う失神や気分不良は、次のような場面で起こることがあります。
- 起床後に立ち上がったとき
- 長時間座っている状態から急に立ち上がったとき
- 朝礼などで長時間立っているとき
- 入浴後や気温の高い場所にいるとき
- 痛みや恐怖などの緊張状態
また、失神が起こる前触れとしては、以下のような症状が見られることが多いです。
- 吐き気
- 気分不良
- めまい
- 動悸
- 冷や汗、異様な発汗
- 視覚や聴覚の変化
前兆を感じた場合は、転倒する前に安全な場所で座るか横になりましょう。周囲の人は、無理に立たせず、頭を打たないよう支えてください。
実際に意識を失った場合は、安全な場所にあお向けに寝かせ、呼びかけへの反応と呼吸を確認します。意識が十分に戻るまでは、むせる可能性があるため飲食させないでください。
意識が戻らない、呼吸がおかしい、けいれんしている、運動中に倒れた、胸の痛みや強い動悸を伴う場合は、救急車を呼びましょう。
立ち上がったときや長時間立っているときに、めまいや立ちくらみ、失神などが起こる場合は、起立性低血圧が関係していることもあります。起立性低血圧の特徴や起立性調節障害との違いについては、下記の記事も参考にしてください。
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起立性調節障害による「失神」を治す方法
失神への対応では、まず起立性調節障害によるものか、心臓や神経などに関わる別の原因がないかを確認することが大切です。
起立性調節障害と診断された場合は、生活上の工夫を基本とし、症状や病型に応じて薬物療法が検討されることがあります。ここでは、日常生活で意識したい主なポイントを解説します。
起床のしかた・立ち上がり方・立ち方を工夫する
起床時や長時間座ったあとは、急に立ち上がると、めまいや立ちくらみ、気分不良などが現れることがあります。まずは横になった状態からゆっくり上体を起こし、いったん座って体調を確認してから立ち上がりましょう。
立っているときに気分が悪くなった場合は、無理にその場に立ち続けず、安全な場所で座るか横になります。朝礼など、長時間立つことが予想される場面では、事前に学校へ症状を伝え、途中で座れる場所を用意してもらうことも大切です。
立位中に足踏みをする、足を交差させて力を入れるなどの動作が、症状の軽減に役立つ場合もあります。ただし、失神を繰り返している場合は、家庭での工夫だけで対応せず、医師に相談したうえで取り入れましょう。
水分や塩分の摂取について医師に相談する
水分不足によって体内を循環する血液量が減ると、立ちくらみや気分不良が起こりやすくなる場合があります。
起立性調節障害では、水分や塩分の摂取量について指導されることがありますが、年齢や体格、持病などによって適切な量は異なります。主治医から具体的な指示を受けている場合は、その内容に従ってください。
体調に合わせて運動を取り入れる
体調に問題がない日は、散歩や軽い筋力トレーニングなどを無理のない範囲で取り入れることがあります。
ただし、失神したことがある場合や、運動中にめまい・動悸・胸の痛みなどが現れる場合は、運動を始める前に医師へ相談しましょう。
生活リズムを無理のない範囲で整える
睡眠時間や食事の状態を確認し、生活リズムが大きく乱れていないかを見直しましょう。
ただし、朝起きられない子どもを無理に起こしたり、眠気がない状態で就寝を強制したりすると、本人の負担が増えることがあります。現在の生活時間から少しずつ調整することが大切です。
起立性調節障害の治し方や親ができることについては、下記の記事も参考にしてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
小児心身医学会ガイドライン







