小児の腹痛の原因の1つに、意外かもしれませんが起立性調節障害(OD)と呼ばれる疾患が挙げられます。
本記事では、起立性調節障害による腹痛の特徴や原因、そして治し方などについて分かりやすく解説していきます。起立性調節障害の子を持つ親御さんが、本記事を読むことで適切な対応を取れるようになれば幸いです。
関連記事:起立性調節障害の子供に親ができること・治療法・治った方の事例

起立性調節障害による腹痛の特徴
起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れることで、めまい、立ちくらみ、倦怠感、頭痛、腹痛など、さまざまな不調が現れる病気です。特に思春期は、体の成長やホルモンバランスの変化が大きく、自律神経も不安定になりやすいため、症状が出やすい時期とされています。
私たちは立ち上がるとき、本来であれば自律神経が自動的に働き、心臓や脳へ十分な血液が届くように調整しています。しかし、起立性調節障害ではこの調整がうまくいかず、起床時や立ち上がったとき、長時間立っているときなどに不調が出やすくなります。
起立性調節障害に伴う症状は、朝から午前中にかけて強く出やすいのが特徴です。反対に、午後になると徐々に症状がやわらぎ、比較的元気に見えることもあります。
腹痛も同じように、朝から午前中にかけて現れやすく、午後から夕方にかけて軽くなることがあります。このような時間帯による変化は、起立性調節障害にみられやすい特徴の一つです。
また、起立性調節障害に伴う腹痛は、「おへその周りが差し込むように痛む」と表現されることがあり、こうした痛みは臍疝痛(さいせんつう)と呼ばれます。臍疝痛は繰り返し起こることがあり、腹痛に加えて食欲不振や吐き気を伴う子どもも少なくありません。
起立性調節障害では、腹痛とあわせて、朝から午前中にかけて吐き気や気分の悪さが出ることもあります。午前中の吐き気が続く原因や対処法を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
起立性調節障害では、腹痛だけでなく、朝起きられない、めまい、倦怠感、頭痛、吐き気など複数の不調が重なることがあります。腹痛以外の症状や、子ども・大人別の特徴を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【関連記事】起立性調節障害の症状
- 起立性調節障害で夜寝れない原因・治し方を紹介
- 起立性調節障害で朝起きれない時の起こし方・起こす際の注意点を解説
- 起立性調節障害による「めまい」を治す方法・原因・特徴を解説|目まい・目眩
- 起立性調節障害による「イライラ」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害による「動悸」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害による「腹痛」を治す方法・原因・特徴を解説
- 起立性調節障害による「頭痛」の原因、治療法、痛みの特徴を解説
- 起立性調節障害による「倦怠感」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害による「失神」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害による「下痢」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害による「鼻血」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害による「胸の痛み」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害による「胃痛」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害の吐き気|気持ち悪い原因や対応方法を紹介
- 起立性調節障害による「足の痛み・だるさ」|原因や対策を解説
- 起立性調節障害で息苦しい|原因や対策を解説
- 生理時に起立性調節障害の症状が悪化|対策や原因を解説
- 起立性調節障害で記憶力が低下する原因-勉強の遅れへの対策も紹介

起立性調節障害による腹痛の原因
では、なぜ起立性調節障害の子供に臍疝痛のような症状が出現するのでしょうか?
これは、自律神経と腸管の運動が関係していると言われています。一般的に、人間の腸管には平滑筋と呼ばれる筋肉が含まれていて、これが収縮や弛緩(しかん)を繰り返すことで腸管は蠕動運動(ぜんどううんどう)と呼ばれる動きをします。
この蠕動運動によって、腸管内に貯留した食べ物やガスが押し出されていって、肛門からガスや便として排出されています。つまり良好な排便や排ガスを得るには腸管の蠕動運動が必要不可欠なわけです。
さらに言えば、蠕動運動は副交感神経によってコントロールされていますので、リラックスして副交感神経が活性化すると人間は排便をしたくなる仕組みなのです。
逆に、緊張状態やストレスがかかった状態では自律神経のバランスが崩れてしまい、腸管が蠕動運動を行わなくなるため麻痺するため、腸の中にガスが貯留して腸管に圧がかかります。
このガスや食べ物による腸管の伸展刺激が、臍疝痛の原因であると言われています。起立性調節障害は自律神経のバランスが崩れてしまう病気であるため、まさに正常な蠕動運動を邪魔する病気なのです。
特に小児の場合、消化器官の発達が未熟であるため自律神経の乱れの影響を受けやすく、そのため腹痛症状を訴えやすいのです。
【関連記事】起立性調節障害の治し方
- 起立性調節障害の治し方・親ができること・治った方の事例を解説
- 起立性調節障害を改善するためには乳酸菌が重要-期待できる効果を解説
- 起立性調節障害における「光療法」効果や仕組みを解説
- セロトニン・ストレス・起立性調節障害の関係|セロトニンの分泌方法を解説
- 今すぐ実践できる運動療法|起立性調節障害
- 自宅でできる栄養療法!起立性調節障害にオススメの食べ物などを紹介
- 起立性調節障害に効果的な食べ物(栄養素)とは?1日の摂取量や控えたい食べ物を解説
- 起立性調節障害はプロテイン(タンパク質)で症状が改善されるの?
- 起立性調節障害はサプリで症状が改善されるの?
- 起立性調節障害における硬膜外酸素注入療法とは?期待できる効果を解説
起立性調節障害による腹痛を治す方法
前述したように起立性調節障害に伴う腹痛は、腸そのものの炎症だけが原因とは限らず、自律神経の乱れによって腸の動きが影響を受けることで起こる場合があります。
つまり、治療する上で最も重要なことは起立性調節障害そのものに対する治療であり、その中でも特に非薬物療法が重要になってきます。非薬物療法とは薬を使う治療以外の治療のことです。
起立性調節障害という疾患に対する理解を深め、日々の生活を少しでもストレスなく過ごせるように環境を整えるだけでも、症状が安定してくる可能性があります。また腹痛症状の予防にも繋がります。
とは言っても、実際に腹痛症状に悩んでいる子供の親御さんからすれば非薬物療法以外の何らかの手助けは欲しいと思います。そこで、おすすめは漢方薬による治療です。
例えば、「小建中湯」という漢方は、芍薬(シャクヤク)、 桂皮(ケイヒ)、 大棗(タイソウ)、 甘草(カンゾウ)、 生姜(ショウキョウ)、膠飴(コウイ)などの成分を配合したものです。
芍薬や甘草、大棗は腸管の痙攣(けいれん)を抑制し、蠕動運動を改善させる効能を持ちます。桂皮や生姜には腸管を暖め消化吸収を促す効能を持ちます。これの効果によって腹部症状の改善が期待されます。
また、「安中散」と呼ばれる漢方は、桂皮(ケイヒ)、延胡索(エンゴサク)、牡蛎(ボレイ)、茴香(ウイキョウ)、甘草(カンゾウ)、縮砂(シュクシャ)、良姜(リョウキョウ)などの成分を配合したものです。
主に胃酸の分泌を抑えて胃痛を和らげる効果があり、これも起立性調節障害による臍疝痛(さいせんつう)に効果的な場合があります。
起立性調節障害向けの漢方薬の種類や選び方を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】起立性調節障害の治し方
- 起立性調節障害の治し方・親ができること・治った方の事例を解説
- 起立性調節障害を改善するためには乳酸菌が重要-期待できる効果を解説
- 起立性調節障害における「光療法」効果や仕組みを解説
- セロトニン・ストレス・起立性調節障害の関係|セロトニンの分泌方法を解説
- 今すぐ実践できる運動療法|起立性調節障害
- 自宅でできる栄養療法!起立性調節障害にオススメの食べ物などを紹介
- 起立性調節障害に効果的な食べ物(栄養素)とは?1日の摂取量や控えたい食べ物を解説
- 起立性調節障害はプロテイン(タンパク質)で症状が改善されるの?
- 起立性調節障害はサプリで症状が改善されるの?
- 起立性調節障害における硬膜外酸素注入療法とは?期待できる効果を解説
【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
起立性調節障害による「腹痛」を治す方法・原因・特徴を解説|お腹が痛い








