朝の起き辛さ、立ちくらみ、めまい、腹痛、倦怠感、など起立性調節障害の症状は様々です。
今回は「息苦しさ」に注目し、なぜ息苦しくなるのか、原因から治療方法まで詳しく解説していきたいと思います。
起立性調節障害による「息苦しい」の原因
起立性調節障害は自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで様々な症状を引き起こす病気です。
ここで自律神経系について少しお話いたします。
私たちは自律神経系である交感神経、副交感神経の両方がうまくバランスを取り合うことで心臓を動かしたり、呼吸、食物の消化など生命維持に必要な機能調整がなされています。
自律神経は全身に張り巡らされており、自分の意志ではコントロールできない上記の生命維持に重要な神経群です。
交感神経は体を活動的にする神経であり、心拍数や呼吸数、血圧を上昇させるなどの働きがあります。副交感神経は体をリラックスさせる神経であり、心拍数や呼吸数、血圧を下げるなどの働きがあります。
呼吸運動に関して少し専門的なお話をします。
呼吸運動の調節は、延髄にある呼気中枢によって吸気や呼気の運動を促し、橋にある呼吸調節中枢で呼吸のリズムを修復しています。(延髄、橋はともに脳幹に含まれ、意識・呼吸・循環を調節する非常に重要な中枢神経の集合体です。)
迷走神経は副交感神経からなる末梢神経で、頸部や胸部、腹部など多くの内臓に分布されています。肺にある受容器では、体の低酸素、高二酸化炭素などを察知し、迷走神経を通り延髄にある吸気中枢へ刺激が伝えられ、呼吸の調節を行います。
例えば、激しい運動をした場合、筋肉で大量に酸素を消費するため、体内の酸素が減り、これを呼吸中枢が感知し(=息苦しさ)、呼吸回数を増やすことで体内に酸素を増やそうとします。
それでは、起立性調節障害ではなぜ息苦しくなるのか。
緊張や不安、ストレスなどが加わり、自律神経のバランスが崩れることで息苦しさが出現します。
基本的には、呼吸中枢は体内の低酸素などを感知し、呼吸運動を促しますが、起立性調節障害で不安や緊張が強くなると、呼吸中枢が高い度合に進むことが多くなります。
そのため、体内の酸素濃度が低くなく、二酸化酸素の濃度が高くない状況でも、精神的なストレスなどが過剰に加わることで、起立性調節障害の方は息苦しさを強く感じることがあります。
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起立性調節障害による「息苦しい」の特徴
特にストレス、緊張、不安などは自律神経のバランスを崩すため、起立性調節障害の症状が悪化しやすいです。
また、気圧が低い時や暑い時期は起立性調節障害の症状が現れやすく、悪化しやすいと言われているため、曇りや雨の日、夏場は特に注意が必要です。
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起立性調節障害による「息苦しい」を治す方法
不安や緊張、精神的なストレスを感じた際には、自律神経を整える呼吸法、つまり腹式呼吸による深呼吸を行うことで体をリラックスさせることができます。普通に行う胸式呼吸ではなく、腹式呼吸を行うことが重要です。
◆腹式呼吸の手順
・体の力を抜き、まずは長くゆっくりと息を吐きます。
・限界まで吐き切ったら、お腹に空気を入れて膨らませるようにして、鼻から大きく息を吸い込みます。
・最大限に息を吸い込んだら、数秒程息を止め、再び息を吐いていきます。
起立性調節障害では息苦しさ以外にも、めまい、立ちくらみ、朝の起き辛さ、倦怠感など様々な症状が見られます。息苦しさ以外の症状も見られ、呼吸法によってもなかなか息苦しさが改善されない場合、薬物療法の強化を含め医師と相談してみてください。
起立性調節障害による症状と思っていても、貧血が合併していたということも考えられますので、気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
下記記事では「起立性調節障害の治し方・子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)