起立性調節障害とは

起立性調節障害による「動悸」|原因や対策(治療法)を解説

この記事の監修者

匿名(医師)

内科

 

起立性調節障害による「動悸」|原因や対策(治療法)を解説

子供が朝起きて立ち上がるたびに動悸症状を訴えていた場合、親御さんは非常に不安になるのではないでしょうか?

動悸と聞くと心臓が悪いのではないかと考えてしまう親御さんも少なくないはずです。実際に動悸症状は心臓の拍動の変化を自覚した際に感じる症状であるため、症状の原因自体は心臓にあります。

しかし、なぜ心臓の拍動が変化するのかは様々な原因が考えられます。動悸症状が出る疾患の中には、重篤で命に関わる危険性もある不整脈などの疾患もあるため、子供が動悸症状を訴えた場合は早急に医療機関で精査しましょう。

また、子供の動悸症状の原因の1つには、起立性調節障害(OD)と呼ばれる疾患もあります。その場合は、起床時や立ち上がった時に症状が出やすいという特徴があります。

自分の大切な子供が心臓にトラブルを抱えているのか、もしくは起立性調節障害なのか、それ以外の病気なのか、いずれにしても正しい理解を持って早期に医療的介入が必要です。

そこで、本記事では子供の動悸症状について分かりやすく解説します。

起立性調節障害による「動悸」の特徴

前述したように、一般的に動悸症状は心臓の拍動の変化を自覚した際に感じる症状です。日本では出生時にある程度心臓の精査がなされ、問題点があればスクリーニングされているはずです。

よって、動悸の原因として先天性心疾患が中学生になって初めて発見されるということは考えにくいです。しかし、心臓の形や見た目は正常でも動悸が起こる可能性はあります。

心臓の筋肉の中には刺激伝道路と呼ばれる神経の通り道が走行していて、そこに定期的に刺激が走ることで心臓は一定のリズムで拍動しています。

しかし、何らかの理由でこの刺激伝道路に異常が生じると、いわゆる不整脈が出現します。脈が急に速くなったり、逆に遅くなったり、不定期なリズムで拍動したりと症状は様々です。

本人はこれを動悸症状として自覚し、場合によっては気分不快感、嘔気、めまい、ふらつき、最悪失神や心停止もあり得ます。不整脈の種類にもよりますが、一般的に動悸発症の共通したタイミングはありません。

つまり、これらの不整脈は、「いつなるか分からない」という特徴を持っているのです。また、低血糖や電解質異常、低酸素など、何らかのベースとなる疾患によって不整脈が生じることもあります。

では、起立性調節障害による不整脈にはどういった特徴があるのでしょうか?不整脈と異なる最大の特徴は、「起立したタイミング」で特に動悸を感じやすいという点です。

起立性調節障害の子供の場合、起立に伴う循環動態の変化が心臓に影響を与えて拍動を変化させてしまうのです。特に午前中は症状が出現しやすいため注意が必要です。

またその他にも、起立性調節障害と似た症状をきたす疾患として貧血は要注意です。小児、特に女児は月経の影響もあり貧血に陥りやすく、症状はめまい、立ちくらみ、ふらつきなどODと酷似しています。

貧血は血液中のヘモグロビンが少ない状態であり、血液中の酸素の取り込み量が少ないため、心臓は脈拍をあげることでどうにか全身に酸素を送り届けようと頑張るわけです。

これによって貧血でも動悸を自覚することがありますが、特に動悸が出やすいタイミングは運動時です。運動の際はより多くの酸素を筋肉に届ける必要があるため、運動時は動悸が起こりやすいのです。

起立性調節障害による「動悸」の原因

では、なぜ起立性調節障害で動悸が出現するのでしょうか?

通常、人間が立ち上がると重力に伴って血液が下肢の方向に多く流れて行くため、脳への血流量は低下してしまいます。そのままでは起立するたびに意識を失ってしまうので、人体には自動で脳の血流を維持する働きがあります。

交感神経と副交感神経からなる自律神経が脳の血流を一定に保つように働き、起立とともに交感神経が活性化し下肢の血管を収縮させているのです。

さらに、交感神経は心臓にも働き、心臓の拍動を強く、そして速くさせます。これによって、より多くの血液が拍出されるため脳の血流は保たれるわけです。入浴後に立ち上がると、ふらついて心臓がバクバクするのはこのためです。

しかし、起立性調節障害の子供では自律神経のバランスが乱れているため、交感神経がうまく活性化しません。そのため起立とともに血圧が下がり、脈拍にも正常とは異なる変化が生じてしまうのです。

特に起立性調節障害の一種である体位性頻脈症候群では、起立時に血圧低下は見られないものの心拍数だけが異常に増加してしまい動悸症状として出現してしまいます。

具体的には、起立後3分以後の心拍数が毎分115回以上、または起立後の心拍増加が毎分35回以上とされていて、重要患者では起立後3分以後の心拍数が毎分125回以上、または起立後の心拍増加が毎分45回以上とされています。

意外かもしれませんが、心臓の拍動が早ければ早いだけ血圧が上がるわけではありません。普通、心臓は拡張して十分血液を溜め込んでから、一気に拍出することで効果的な血液の駆出を行っています。

あまりにも脈拍数が増加してしまうと、拡張する時間が不十分で血液を溜めこめずに収縮してしまい、効果的な血液の駆出が得られません。いわゆる「空打ち」のような状態になってしまうのです。

起立性調節障害による「動悸」を治す方法

起立性調節障害の動悸症状を治療する上で最も重要なことは、まず医療機関に受診して早期に診断をつけることです。仮に命に危険を及ぼすような不整脈が隠れていた場合、早急に治療が必要になるからです。

医療機関では動悸症状に対してほぼ間違いなく心電図検査を行います。不整脈であれば心電図検査ですぐに発見できるため、非常に有用な検査です。その上で起立性調節障害の診断がつけばいよいよ治療を行います。

ただ、残念ながら起立性調節障害に対する特効薬はありませんが、症状を緩和する方法は複数あります。

子供本人や親御さんがしっかりと病気に対する理解や認識を持つことが必要です。あくまで体の病気であり、不適切な対応を避けて症状の悪化を防ぐ必要があります。

次に非薬物療法が実際の治療の中心となります。体に急激な変化を与えないようにゆっくり立ち上がったり、立っている間の姿勢を工夫したりと、できることはたくさんあります。非薬物療法だけでは不十分な場合は、血管収縮剤による薬物療法も選択肢の1つです。

起立性調節障害であれば動悸以外にもいくつかの特徴的な症状が出現する可能性は高いです。下記記事では、自宅で簡易的に起立性調節障害をチェックできるチェックリストについて詳しく解説されています。気になる方はぜひ参考にしてください。

 

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
起立性調節障害(OD)ドクターズファイル

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