胸の痛み(胸痛)というと、心臓からくるもので、何となく怖い病気が隠れているのではないかと心配になってしまうことも多いと思います。胸痛にも色々な原因があり、起立性調節障害の方でも見られることがあります。
胸痛が見られた場合、どの様な病気の可能性があるのか、起立性調整障害で見られる胸痛の特徴、原因や対処法、注意すべき胸痛の種類などを解説していきます。
起立性調節障害による「胸の痛み」の原因
まずは胸の痛み(胸痛)について、解説していきます。
胸痛の原因は様々であり、痛みの場所・臓器から考えると、心臓、大動脈、肺、気管、食道、胃、肋骨、神経、筋肉などからくるものが考えられます。
その中でも、特に心臓や大動脈などからくる循環器領域の病気では緊急性が高いものが多く注意が必要です。
◆注意が必要なタイプの胸痛
・階段をのぼるなど動いている時の胸痛
・痛みが背中に移動している
・締め付けられる様な急で強い痛み
・胸痛とともに吐き気や冷や汗、歯、肩への痛みなども見られる
・胸痛とともに吐血も見られる
・胸痛とともに呼吸困難も見られる
これらの症状が見られた場合は、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。
起立性調節障害の方で見られる胸痛の原因は、自律神経のバランスが崩れることです。自律神経の不調が原因で胸痛が見られることもあり、胸痛の症状としては、胸の痛みだけではなく、胸や首の圧迫感、首周囲や肩のこり、動悸、息苦しさといった症状として感じられることもあります。
起立性調節障害は小学校高学年から高校生の思春期に多い病気であり、子供の胸痛の原因としては胸壁の痛みが50-80%と最も多く、呼吸器が10-20%、心因性が10%、心臓、ケガ、消化器が5%程度とされています。
心配がいらない突発性胸痛や成長痛であることが多いですが、いずれにしても胸の症状が見られた際には、医療機関を受診して心電図や血液検査、場合によっては心臓エコー検査を受けましょう。
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起立性調節障害による「胸の痛み」の特徴
起立性調整障害は自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで立ちくらみや、めまい、胸の違和感や息苦しさなど多様な症状を来す病気です。
ストレスや緊張状態、不安な状態が続くことで自律神経のバランスは崩れやすくなってしまいます。自律神経には体を活動的にする交感神経と体を休める副交感神経があり、日内変動に従い、うまくバランスをとり、体の様々な機能調整を行っています。
緊張状態や不安な状態では交感神経が活性化され、この状態が長期間にわたり継続すると、体は常に交感神経による活動的な状態が続き、休まることができず疲弊し胸の痛みなどの不調が出現してしまいます。
それでは、起立性調節障害の方はどの様な時に胸痛がみられやすいのか?
安静時や寝ている時にも症状が見られることがある狭心症などの循環器疾患とは異なり、起立性調節障害の方では、一日のうちで胸痛が最も見られやすい時間帯は日中です。
先ほど上記でお話しましたように、起立性調節障害の方においては、交感神経の緊張が胸痛を誘発する原因であるため、交感神経が活性化している日中が最も症状が見られやすくなります。副交感神経が優位に働く睡眠時には見られることはありません。
胸の症状以外にも、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみなど様々な症状が起立性調節障害の方では見られますが、天候や気温によっても症状が見られやすく、増悪しやすいため雨・曇りの日、暑い時期などでは特に注意が必要です。
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起立性調節障害による「胸の痛み」を治す方法
胸の症状が見られた場合には必ず医療機関を受診し、命に係わる病気がないか、検査を行い診断することが重要です。心電図やレントゲンで問題がなければ、場合によっては心臓のエコー検査を行うことがあります。
心臓や大動脈に異常がないかを確認でき、いずれの検査でも異常が見られなければ、普段見られている胸の症状以外の症状の問診を行い、検査の上、起立性調節障害と診断されます。
もともと起立性調節障害と診断されていたとしても、胸の症状が新たに出現したり、頻度が多くひどくなるような場合にも主治医に必ず相談するようにしましょう。
自律神経の不調が原因で胸の痛みが起こっている場合、自律神経を整え、胸郭を柔らかくすることで症状が緩和されます。胸郭とは、肋骨、胸骨、胸椎で構成される胸部の骨格であり、これらを柔軟にすることで呼吸により胸が広がりやすくなり、症状改善につながります。
肩甲骨周囲、首、前胸部を緩めることを中心にしたストレッチやヨガなどを行ってみてください。
起立性調節障害の治療法には、薬物療法と非薬物療法があります。食事や水分、生活習慣の改善や起床・起立の仕方の工夫などの非薬物療法が非常に重要であり、非薬物療法を行った上で、症状の緩和に薬物を使用します。
胸の症状が動悸として感じるのであれば脈を抑える薬を使用することもあります。血圧や脈拍に異常がなく、痛みが強い場合は鎮痛剤を使用することもあります。治療についても医療機関を受診し、相談しましょう。
下記記事では「起立性調節障害 血圧 どれくらい」について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
小児心身医学会ガイドライン