起立性調節障害とは

起立性調節障害による「イライラ」|原因や対策(治療法)を解説

この記事の監修者

医師 星野綾美

医師 星野 綾美

五百山クリニック院長
内科
保有資格:医学博士(総合医療学)

 

起立性調節障害による「イライラ」|原因や対策(治療法)を解説

普段は穏やかだった自分の子供が朝から無性にイライラしていたり、ぼーっとして集中力が低下していたら親御さんはどう対応するでしょうか?

病気の可能性を考えて心配になる親御さんもいるとは思いますが、イライラしている子供に対して自分もイライラしてしまい叱責してしまう親御さんもいるのではないでしょうか?

特に子供は成人より身体的、精神的に未熟なため様々な病気を疑わなくてはいけません。理由もなくイライラするようであれば精神的な疾患の可能性もあります。

子供が罹患しやすく、特に理由となるイベントもなくイライラしてしまう病気として、起立性調節障害(OD)と呼ばれる病気があります。

もし仮に自分の大切な子供が起立性調節障害に罹患した場合、イライラして親御さんや友人に当たってしまうようであれば、お互いに辛い思いをしてしまう可能性もあります。

そこで本記事では、子供のイライラ症状について分かりやすく解説します。

起立性調節障害による「イライラ」の特徴

一般的にイライラしてしまう時にはなんらかの原因となるイベントがあります。例えば誰かに罵倒されたり嫌なことを言われた時や、自分の思い通りに物事が進まない時などそのシチュエーションは人によって様々です。

これらの精神的ストレス以外にも、持続的な腹痛や頭痛、嘔気、虫歯による歯痛などの身体的な症状が原因でイライラしてしまうこともあります。しかし、これらの場合は子供本人もなぜ自分がイライラしてしまっているのか原因を自覚できるため、親御さんにとってもその原因を突き止めやすいです。

起立性調節障害の子供のイライラしてしまう症状は、子供自身が原因をはっきりと自覚することは難しいという特徴があります。

また、起立性調節障害という疾患の特性上、特に午前中に症状が強く出てしまいます。具体的には立ちくらみやめまい、食欲不振、ふらつき、体動困難、気分不快感などの症状が出現します。

すると「午前中はほとんどと言っていいほど頭が回らない」「授業には身が入らない」「思考力も低下しぼーっとしてしまう」「考えがまとまらずそんな自分にイライラする」などの精神的負荷がかかってしまうのです。

起立性調節障害は精神疾患ではなくあくまで身体疾患であり、自分ではどうすることもできずにこれらの症状が毎朝のように襲ってくるため、子供からしたらかなりの苦痛を感じるはずです。

また、起立性調節障害によるイライラの特徴は他にもあります。身体症状が午前中に強く出ることで、午前中は授業が身に入らず、場合によっては通学すら困難になってしまいます。

午後になると思考力が回復しますが、思考出来てしまうが故に自分の学業の遅れをはっきりと自覚してしまいストレスになります。よって、イライラ感がなかなか解消されないのです。

起立性調節障害による「イライラ」の原因

起立性調節障害によるイライラの原因を知る上では、まず疾患について理解する必要があります。そもそも起立性調節障害とは肉体が急激に成長する際、自律神経の発達が追いつかずに発症する身体疾患です。

自律神経とは交感神経や副交感神経のことで、人体の血圧や脈拍、睡眠や運動、排尿や排便など多くの生理的機能を自動でコントロールしています。

例えば、副交感神経が興奮することで人間は睡眠に向かっていきます。逆に運動中は交感神経が活性化しているため、なかなか走りながら睡眠できる人はいません。

自律神経はその時の体の状況に合わせて互いに活性化や不活化してバランスを取り合っていますが、多くの機能をコントロールしている自律神経だからこそバランスが崩れてしまうと様々な症状が出現します。

本来、人間は朝起きて立ち上がると、血液が重力に伴って下肢の方向に流れていき、一番高い位置にある脳には血液が供給されにくくなってしまいます。

そこで、起立時に自律神経の1つである交感神経が自動で活性化することで下肢の血管が収縮し、心臓の鼓動は早く、かつ強くなり、どうにか脳への血液の供給を維持しようと働きます。

しかし、起立性調節障害では自律神経のバランスが乱れ交感神経が活性化してこないため、脳への血流が低下して上記のような様々な症状やイライラ症状が出現してしまうのです。

小学生高学年から中学生の時期にかけて肉体が急激に発達することで心臓と脳の距離が開いていくため、特に症状が出現しやすいと言われています。

また、起立性調節障害では特に親御さんとの摩擦がイライラ症状を増悪させてしまうことが多いです。前述したようにODは午前中に症状が出現しやすいため、子供がサボりたいだけだと断定してしまう親御さんも少なくありません。

起立性調節障害の子供からすれば、起床後に原因不明の症状が襲ってくる中で親御さんにまで怒られてしまうため、精神的に非常に辛い経験となってしまいます。

これらの精神的ストレスが自律神経のバランスをさらに乱してしまうため、起立性調節障害の子供に不要なストレスを与えることは厳禁です。

親御さんの振る舞い1つでイライラ症状にも影響が出る可能性は十分あり得るため、親御さんは起立性調節障害に対する理解や認識をしっかりと持っておきましょう。

起立性調節障害による「イライラ」を治す方法

残念ながら起立性調節障害に対する特効薬はありませんが、症状を緩和する方法は複数あります。

まず最初に、子供本人や親御さんがしっかりと病気に対する理解や認識を持つことが必要です。あくまで体の病気であり、不適切な対応を避けて症状の悪化を防ぐ必要があります。

その上で治療の中心となるのは非薬物療法です。起立性調節障害の場合、立ち上がり方1つとっても症状を緩和させる可能性がある、つまり治療の1つになるためしっかりと理解しておく必要があります。

例えば、普段よりゆっくり起き上がる、水分をしっかり補給する、などの行動でも脳血流は維持されやすくなり、その結果思考力が回復しイライラも減っていく可能性があるのです。

それでも症状が改善しなければ、血管収縮剤による薬物療法も選択肢の1つです。また、イライラ症状は心のケアで緩和する可能性もあるため、カウンセリングによる心理療法も選択肢の1つです。

また、イライラの治療には、身体面をサポートする小児科や内科的な治療と、身体の不調が長引いて、精神的にもトラブルが起きている際の精神科や心療内科での治療など、集学的なサポートを必要とする場合があります。

適切な治療には治療のかじ取り役が必要なので、親御さんと当事者がバランス良く正確な知識を得ることと、普段を知るかかりつけの主治医の助力を得ることが有用です。

実際には、起立性調節障害に罹患した子供は肉体の成長が落ち着くと共に症状が自然に改善することが多いです。下記記事では、起立性調節障害がいつまで続くのか詳しく解説されています。気になる方はぜひ参考にしてください。

 

 

下記記事では「起立性調節障害の子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

【参考】

田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

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