起立性調節障害とは

起立性調節障害による「頭痛」の原因・治療法・痛みの特徴を解説

2023年11月25日

この記事の監修者

医師 星野綾美

医師 星野 綾美

五百山クリニック院長
内科
保有資格:医学博士(総合医療学)

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

「最近毎朝起きるといつも頭が痛い、なんとなく体もだるい」

子供からそんな風に聞かれたら親御さんはどう対応しますか?

子供は大人と違って様々な症状を訴えますが、その中でも特に頭痛は子供が訴えることの多い症状です。ただの風邪なのか、公園で頭をぶつけたのか、見逃してはいけない原因が潜んでいるのか、親御さんからしたら色々と考えてしまい不安になってしまうと思います。

特に、見逃してはいけない病気が原因なら尚更見つけてあげたいはずです。

結論から言えば、子供が慢性的な頭痛を訴える場合は片頭痛、筋緊張性頭痛、起立性調節障害(OD)の3つを疑うべきです。

起立性調節障害の場合は、頭痛の原因が他の2つの疾患と異なるため頭痛薬を飲んでも効果的ではありません。だからこそ、起立性調節障害は子供にとっても親御さんにとっても厄介な病気だと言えます。

そこで本記事では、起立性調節障害による頭痛について、原因や特徴、対処法などを詳しく解説していきます。本記事を読むことで適切な対応できるようになれば幸いです。

関連記事:起立性調節障害の子供に親ができること・治療法・治った方の事例

https://odod.or.jp/kiritsusei-toha/od-437/
起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害による頭痛の原因

子供にみられる頭痛の多くは片頭痛や筋緊張性頭痛が原因であり、小児の約3~5%が片頭痛、5~25%が筋緊張性頭痛を経験すると報告されています。

しかし、これら以外にも忘れてはいけないのが起立性調節障害(OD)による頭痛です。ODを発症した子供の多くが頭痛を併発するとされており、診断の際には重要なポイントになります。

では、なぜODでは頭痛が起きやすいのでしょうか?

人が運動するときには、自律神経のうち交感神経が自動的に活性化し、心臓の拍動を強めて筋肉に酸素や栄養を届けています。もし交感神経がうまく働かなければ、体はすぐにエネルギー不足に陥り動けなくなってしまいます。

ODは、この自律神経のバランスが乱れる病気です。そのため特に起床後や午前中に血圧や脈拍を適切に調整できず、脳への血流が低下してしまいます。結果として、脳血流の変動、疲労物質の蓄積、脳血管の拡張といった変化が起こり、頭痛として症状が現れるのです。

つまり、子供の頭痛の背景に起立性調節障害が隠れているケースも多く、見逃さないことが大切です。

起立性調節障害による頭痛の痛みの特徴

子どもの慢性的な頭痛は、片頭痛・筋緊張性頭痛・起立性調節障害(OD)に大きく分けられます。それぞれに特徴があり、鑑別の参考になります。

片頭痛は発症前に「視界がチカチカする(閃輝性暗点)」といった前兆が見られることがあります。その後、片側に拍動性の強い頭痛が出現し、1〜3日持続することもあります。ただし、小児では前兆を自覚・表現できない場合も少なくありません。

筋緊張性頭痛は、寒暖差や風邪、長時間同じ姿勢など身体的ストレスや精神的な緊張が引き金となります。首や肩の筋肉が硬直することで血流が滞り、両側の後頭部に締め付けられるような痛みが生じます。

一方で、起立性調節障害による頭痛は、朝から午前中にかけて強く出現し、午後以降に軽快する日内変動が特徴です。痛みは両側にズキズキと拍動する性質が多く報告されています。

一般的に、下記のような違いが見られます。

  • 片頭痛:片側性・拍動性
  • 筋緊張性頭痛:両側性・締め付け感
  • 起立性調節障害:両側性・拍動性+午前中に悪化

ただし、併発例も少なくないため症状だけでの判別は難しいことがあります。その場合は、専門の医療機関で詳しい診察を受けることが大切です。

起立性調節障害による頭痛を治す方法

起立性調節障害による頭痛を治す方法は、非薬物療法、薬物療法に分類されます。それぞれ詳しく解説していきます。

非薬物療法

非薬物療法は、起立性調節障害の治療において最初に取り組むべき方法であり、家庭でもすぐに実践できます。

代表的な対策としては、脳血流の低下を防ぐために起床時の立ち上がり方を工夫することや、電解質を含む水分をこまめに摂取して脱水を防ぐことが挙げられます。

さらに、立位時に上体をやや前傾させる、脚を組んで血液が下肢にたまるのを抑えるといった工夫も有効です。

いずれも家庭で継続して行えるシンプルな方法であり、症状の軽減に役立つ重要な治療アプローチとされています。

薬物療法

非薬物療法を行っても頭痛が続く場合には、薬物療法を併用することが検討されます。代表的な治療として、起床前にミドドリン塩酸塩(血管収縮薬)を服用する方法があります。

この薬は血管を収縮させて血圧を上昇させ、脳血流の低下を防ぐことを目的としています。効果を安定して得るためには一定期間の継続服用が必要であり、根気強く治療を続ける姿勢が重要です。

非薬物療法と薬物療法を組み合わせることで、症状をコントロールしやすい環境を整え、頭痛の発症を防ぐことが期待できます。

子供自身の非薬物療法や、医療機関から提供される薬物療法以外に親御さんがご家庭で子供にできることはまだまだたくさんあります。下記の記事で詳しく解説されていますのでぜひ参考にしてください。

関連記事:起立性調節障害の治し方・子供に親ができること・治療法・治った方の事例

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

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