起立性調節障害とは

起立性調節障害による「めまい」を治す方法・原因・特徴を解説

2022年4月1日

この記事の監修者

医師 星野綾美

医師 星野 綾美

五百山クリニック院長
内科
保有資格:医学博士(総合医療学)

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

誰しもが一度はめまい症状を経験したことがあるのではないでしょうか?

例えば、お風呂上がりにのぼせてふらついたり、メリーゴーランドに乗るだけでめまいが誘発されます。めまい症状が起きると吐き気や嘔吐も誘発され、場合によっては体動困難に陥ることもあります。

子供でもめまい症状で苦しむ可能性があります。原因は多岐に渡りますが、そのうちの1つに起立性調節障害(OD)があります。起立性調節障害によるめまい症状は場合によって重症化すれば通学などの日常生活に著しい影響を与えます。

そこで本記事では、めまい症状の出現した子供に対する原因の見つけ方や、その後の対応方法についてわかりやすく解説していきます。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害による「めまい」の原因

めまいにはさまざまな原因があり、その性質や症状も異なります。小児に多い原因としては、耳鼻科疾患による平衡感覚の異常、小脳の障害、心因性要因、そして脳血流の低下などが挙げられます。

平衡感覚は内耳の三半規管で感知され、前庭神経を介して脳へ伝達されます。このため、三半規管や前庭神経に異常が生じると回転性のめまいが起こります。代表的な疾患として良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎があります。

小脳の障害もめまいの原因となります。小脳は平衡感覚の調整を担う部位であり、脳出血・脳梗塞・脳腫瘍などで機能が低下すると、船に乗っているような浮動感を伴うめまいが出現します。

また、うつ病やパニック障害などの心因性要因によっても、立ちくらみのようなめまいを感じることがあります。

そして重要なのが脳血流の低下によるめまいです。不整脈や心疾患、脳血管の異常などに加え、起立性調節障害(OD)もその一因となります。ODは成長期に自律神経の働きが不安定になることで起こり、起立時に交感神経が十分に機能せず脳血流が低下するため、全身倦怠感や立ちくらみ、めまいを引き起こします。特に起床後に症状が強く、動き出せなくなるケースも少なくありません。

このように、起立性調節障害によるめまいは起立時に脳幹や小脳への血流が不十分になることが背景にあり、自律神経の不調が中心的な要因となっています。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害による「めまい」の特徴

めまいは原因によって症状の現れ方が異なります。耳鼻科疾患に伴うめまいは典型的に回転性(ぐるぐる回る感覚)を示し、難聴を伴うこともあります。発症は急性であることが多く、長期間続くことはまれです。

一方で、起立性調節障害によるめまいは自律神経の不調により脳血流が低下することで起こります。特に朝の起床時から午前中にかけて出やすく、午後には症状が軽快する日内変動が特徴的です。

めまいの性質としては、血流不足による立ちくらみに近いふらつき感が中心であり、お風呂上がりや貧血時のめまいに似ています。また、症状は一過性ではなく、慢性的に続く傾向がある点も他のめまいと異なる特徴です。

起立性調節障害による「めまい」を治す方法

起立性調節障害によるめまいは、脳血流の低下が主な原因です。そのため、症状が出た際はまず横になって脳血流を確保することが基本対応となります。血流が回復すれば、多くの場合めまいも軽快します。

起立する際には、十分な水分を摂取し血液量を保ったうえで、ゆっくり立ち上がることが大切です。また、立位時に足を交差させて下肢に血液が溜まらないようにする工夫も有効です。

これらは急性期の対処法であり、根本的な改善には起立性調節障害そのものへの治療が必要です。発症後1年で約半数、数年以内に約8割が自然に回復するとされますが、症状が強く日常生活に支障をきたす場合は薬物療法など医療的介入が必要となります。

下記記事では「起立性調節障害の治し方・子供に対して親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

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