起立性調節障害とは

【激しい運動はNG】起立性調節障害の子ども 部活・体育の授業への対応方法

この記事の監修者

医師 星野綾美

医師 星野 綾美

五百山クリニック院長
内科
保有資格:医学博士(総合医療学)

 

【激しい運動はNG】起立性調節障害の子ども 部活・体育の授業への対応方法

思うように「運動」ができないという状況は、育ち盛りの子供にとって多大なるストレスを感じることでしょう。それに子供にとっての運動はこれ以上ないコミニケーションツールです。

起立性調節障害(OD)に罹患した子供は特に午前中体調が悪いことが多く、運動により起立性調節障害の症状が悪化する可能性が高いです。さらに病気を周囲の子供達に理解してもらうことは簡単ではなく、何も対策をしなければ難しい学校生活を送る可能性があるのです。

そんな時こそ、親御さんが適切な対応を取れなければ大切な子供の青春時代や人生そのものを大きく毀損してしまいます。本記事を読むことで少しでも起立性調節障害への対応法を理解していただければ幸いです。

激しい運動は控えてください

そもそも起立性調節障害と診断された子供は激しい運動を行って良いのでしょうか?

答えはNoです。起立性調節障害の病気としての性質を考えれば激しい運動は非常に相性の悪い行動であることが分かります。

起立性調節障害は自律神経、つまり交感神経と副交感神経のバランスが崩れる病気です。自律神経とはその名の通り、自律して自動的に体の状態に合わせて働く神経なのです。

本来であれば朝起きてから体はアクティブなモードに入り、交感神経が強く働くことでその後の運動や行動に体を適応させます。逆に睡眠中は副交感神経が強く働くことで休息モードに入るのです。

起立性調節障害の場合、朝起きてからも交感神経が強く働かないため起床後の血圧変動や行動に体がついていけません。午後になってようやく交感神経が強く働いてくると徐々に行動や運動に適応できるようになって行きます。

なぜ激しい運動を控えるべきなのか

では、具体的になぜ激しい運動と起立性調節障害の相性が良くないのかを解説して行きます。

人間は睡眠中は血液が重力の影響を受けにくいため脳への血流が確保しやすいです。しかし、目覚めて起き上がると、重力の影響を強く受けて血液は頭ではなく下肢の方向に向かうため脳の血流は低下しやすい状態にあります。人間にはそのような状態のために自律神経があります。

脳への血流を維持するために、交感神経が強く働き足の血管を締めたり、心臓の鼓動を早めたりして自動で脳血流を確保するように働くのです。起立性調節障害の場合この代償反応が起きないので、脳血流が低下して立ちくらみや体調不良などが生じるのです。

さて、ここで激しい運動、例えばサッカーをイメージしてみましょう。長時間立っていなくてはいけませんし、さらに夏でも屋外で行うので大量に発汗する可能性があります。

前述したように立位(まっすぐに立った姿勢)は脳血流を低下させやすいです。湯船に浸かって血管が開いた状態で急に立ち上がるとクラっとするのと同じです。これが長時間の立位となると起立性調節障害の子供にとっては非常に不利な状況なのです。

さらに、発汗すると脱水になり血液の量が減ってしまいますので脳への血流も確保しにくくなってしまいます。このような状況では本来交感神経が働き心臓の拍動を高めることで脳への血流を補うのですが、それも起立性調節障害の子供では難しいのです。

以上のことからも激しい運動は起立性調節障害の子供にとって相性の悪い行動だと言えます。

どんな部活は控えるべきなのか

起立性調節障害と相性の悪い要素は「長時間の立位」「暑い場所」「大量の発汗」などが挙げられます。これらの要素を満たすような運動は起立性調節障害の子供の場合控えたほうがいいと思います。

具体的には、サッカー、バスケット、テニス、野球、陸上などが該当するでしょう。多くのメジャースポーツは立位ですし激しく体を動かす必要性があります。

しかし、運動という観点から見れば、まずは自分1人で行えるような小さい運動(縄跳びやスクワットなど)から始めていくのが良いでしょう。

また、スポーツドリンクなどで十分水分を補給したうえで、プールのなかで歩いたり、泳いだりする運動もおすすめです。水圧が血圧をサポートしてくれることや全身の筋肉をバランスよく鍛えることで、血圧の低下を予防しやすくなるからです。

起立性調節障害という病気の特性上午後に症状が改善してくるため、午前中の学校には参加できなくても午後の部活には参加できる可能性もあります。嫌な見方をすれば授業はサボって部活だけ出ていることになりますので、この場合はもちろん学校側がその状況を許容してくれるかどうかによるかと思います。

周囲の子供達から理解を得るのがなかなか難しいと思いますので、特に親御さんは学校と連携をとって慎重な対応が必要になります。限定的な部活動への参加を、あくまで筋力向上のための治療の一環だと説明すれば理解は得られやすいかもしれません。

体育の授業は体調に応じて見学を行い、参加できない場合のケアを想定

前述したように子供にとって運動は重要なコミニュケーションツールの一つですから、参加可能な病状であれば参加する方がもちろん本人にとって良いことだと思います。しかしながら症状の強い起立性調節障害の子供は自分は運動をしたくても体調次第では参加できないことがあります。

周りの子共からは、体調不良で体育に参加できない子供に対して大人ほどの理解を示せない可能性が高いでしょう。「なんであの子だけマラソンを走らないの?」「私だって休みたい!」など悪気なくそのような言葉を放ってしまうかもしれません。

つまり重要なのは体育の授業に参加できる場合の想定ではなく、参加できない場合のケアを考えておくことです。

具体的には、本人の許可を得られれば担任から他の子供達に説明してもらい理解を得たり、他の親御さんに対して説明をしておくことで環境を整えることができるかと思います。

また、症状が改善したり、本人の中での対応策を身につけられれば活動の幅を広げることも可能かと思います。以下の記事では起立性調節障害に対しての対応などが詳しく解説されていますのでぜひ参照ください。

 

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

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