起立性調節障害とは

起立性調節障害による「頭痛」の原因、治療法、痛みの特徴を解説

この記事の監修者

医師 星野綾美

医師 星野 綾美

五百山クリニック院長
内科
保有資格:医学博士(総合医療学)

 

起立性調節障害による「頭痛」の原因、治療法、痛みの特徴を解説

「最近毎朝起きるといつも頭が痛い、なんとなく体もだるい」

子供からそんな風に聞かれたら親御さんはどう対応しますか?

子供は大人と違って様々な症状を訴えますが、その中でも特に頭痛は子供が訴えることの多い症状です。ただの風邪なのか、公園で頭をぶつけたのか、見逃してはいけない原因が潜んでいるのか、親御さんからしたら色々と考えてしまい不安になってしまうと思います。

特に、見逃してはいけない病気が原因なら尚更見つけてあげたいはずです。

結論から言えば、子供が慢性的な頭痛を訴える場合は片頭痛、筋緊張性頭痛、起立性調節障害(OD)の3つを疑うべきです。

起立性調節障害の場合は、頭痛の原因が他の2つの疾患と異なるため頭痛薬を飲んでも効果的ではありません。だからこそ、起立性調節障害は子供にとっても親御さんにとっても厄介な病気だと言えます。

そこで本記事では、起立性調節障害による頭痛について、原因や特徴、対処法などを詳しく解説していきます。本記事を読むことで適切な対応できるようになれば幸いです。

起立性調節障害による頭痛の原因

子供の頭痛症状においてはそのほとんどが片頭痛か筋緊張性頭痛が原因と言えます。小児の3~5%は片頭痛を、5~25%は筋緊張性頭痛を罹患すると言われています。

しかし、それ以外に起立性調節障害による頭痛も忘れてはいけません。起立性調節障害に罹患した場合、高確率で頭痛症状を併発することが知られているからです。

なぜ、起立性調節障害の子供に頭痛症状が出現するのでしょうか?

皆さんが普段走ったり運動することができるのは自律神経の1つである交感神経が自動的に活性化して、心臓の動きを強めて筋肉に酸素などのエネルギーを供給しているからです。

仮に交感神経が活性化しなければ運動に見合った心臓の動きがないため、すぐにガス欠になり動けなくなるでしょう。しかし、起立性調節障害はその自律神経のバランスが乱れる疾患です。

そのため、特に起床後や午前中は血圧や脈拍を上手に調整できなくなります。その結果、脳への血流が低下することで様々な症状が出現してしまいます。

つまり起立性調節障害の場合、脳への血流量の変動に伴い、疲労物質の蓄積や脳の血管拡張が起こり頭痛が出現します。

起立性調節障害による頭痛の痛みの特徴

前述したように子供の慢性的な頭痛では主に片頭痛、筋緊張性頭痛、起立性調節障害の3つの疾患である可能性が高いです。それぞれの疾患による頭痛には特徴があります。

片頭痛では頭痛発症前に目がチカチカするような症状(閃輝性暗点)が出現するのが典型的ですが、お子さんでは自覚されない場合も、上手く訴えられない場合もあります。前兆がある方では、その後片側性に拍動性の頭痛が出現します。1日の中でいつでも発症する可能性があり、1~3日間持続することもあります。

筋緊張性頭痛は、寒暖差や風邪、長時間の同じ姿勢などの身体的ストレス、疲労や精神的なストレス、緊張などに伴い僧帽筋や頚部の筋肉が緊張することで脳血流が悪くなることで発症します。主に両側性の後頭部が締め付けられるような痛みに襲われます。

では、起立性調節障害の頭痛にはどんな特徴があるのでしょうか?

起立性調節障害の場合、朝起き上がってから午前中にかけて発症する頭痛が多く、午後にかけて症状が緩和していくのも特徴的です。

頭痛の性質は主に両側性に拍動性のズキズキするような痛みが出ることが多いです。

一概には言えませんが、片頭痛はその名の通り片側性で拍動性の痛み、筋緊張性頭痛は両側性の締め付けられる痛み、起立性調節障害は両側性で拍動性の痛みというふうに特徴を区別できますが、非典型例も多いので迷ったら主治医に相談してみましょう。

また、起立性調節障害の場合、症状に日内変動がある点で他の2つの疾患と区別をつけやすいと思います。

厄介な点は起立性調節障害とその他の2つの疾患は併発することがあるという点で、臨床症状だけでは区別をつけることが難しい可能性があります。その際は専門性の高い医療機関への受診をお勧めします。

起立性調節障害による頭痛を治す方法

片頭痛、筋緊張性頭痛、起立性調節障害ではそれぞれ治療が異なるため、治療開始前にしっかり診断をつけておくことが大切です。場合によっては行った治療で起立性調節障害の症状が悪化する可能性もあるからです。

片頭痛や筋緊張性頭痛の場合、アセトアミノフェンやNSAIDsと呼ばれる一般的な鎮痛剤がある程度有効になります。

片頭痛は脳の血管拡張による頭痛と言われていますので、鎮痛剤以外に脳の血管を収縮させるトリプタン製剤などが有効です。筋緊張性頭痛は筋肉のこわばりが原因なので、筋弛緩剤が有効です。

それに対して起立性調節障害の頭痛の場合、原因は脳の血管や筋肉ではなく自律神経がうまく機能しないことによる脳血流の低下です。つまり、脳の血管や筋肉への治療は意味をなしません。

さらに、一般的な鎮痛剤もあまり有効ではないことが多く、起立性調節障害そのものへの治療を行うことが最も効果的であると考えられます。

非薬物療法

非薬物療法は、まず最初に行うべき治療であり家庭でも即実践可能です。脳への血流低下を防ぐために朝の立ち上がり方を工夫したり、適切に電解質を含んだ水分をしっかり摂取し脱水を避けるような指導を行います。

他にも、立ち上がった後に頭を少し前かがみにすることで少しでも脳血流を確保したり、足をクロスさせて下肢に逃げる血液量を少しでも絞ったりするような治療法が有効です。

これらの治療法は家庭の中で日常的にできるため非常に有効な治療だと思います。

薬物療法

非薬物療法でも頭痛が継続してしまうようであれば薬物療法を併用することが好ましいです。具体的には、ミドドリン塩酸塩と呼ばれる血管収縮剤を起床前に内服する治療法です。

血管を収縮させて無理矢理血圧をあげることで脳血流の低下を避ける治療法ですが、効果を維持するにはある程度の期間内服が必要です。継続して治療を行い起立性調節障害と向き合っていく必要性があります。

上記のような治療法を組み合わせて起立性調節障害そのものの治療を行うことで、頭痛が出現しにくいような状況を作り出していくことが必要です。

子供自身の非薬物療法や、医療機関から提供される薬物療法以外に親御さんがご家庭で子供にできることはまだまだたくさんあります。下記の記事で詳しく解説されていますのでぜひ参考にしてください。

 

 

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

トトノエライト なおくん

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