平日の朝なかなか起き上がれず、午前中も調子が悪いことが多いため、学校にいけないことが多い子どもが、放課後や休日には様子が違うことがありませんか?
午前中は調子が悪かったのが、放課後には元気に友達と遊んだり、休日には朝から調子よくどこかへ出かけたり、さらには、何かイベントがある時もしっかり起き上がることができ、楽しくイベントに参加できるのです。
この様な状況からみると、病気への疑問も多いのではないでしょうか。
「本当に病気なの?」
「甘えでサボっているだけなのでは?」
この様に思ってしまうのも仕方がないのですが、この状況も含めて起立性調節障害なのです。病気への理解を深め、サポートできるようここでは解説していきます。
起立性調節障害の子どもはどうして遊びには行けるの?
起立性調節障害は自律神経系である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、多様な症状がみられる病気です。交感神経は体を “闘争状態” にする神経で、心臓や筋肉を活性化します。副交感神経は体を“リラックス状態” にする神経で、睡眠に向けて体を休息させます。
朝方になると、睡眠時に活性化した副交感神経から交感神経にスイッチし起床に向けて体を起こします。このスイッチがうまくいかないことで、朝なかなか起き上がれず、午前中も調子が悪いことが多くなってしまうのが起立性調節障害の子どもによくみられる症状の一つです。
しかし、午後になると、徐々に交感神経が活性化され、調子も回復し、放課後には友達と遊ぶことができてしまうのです。
交感神経の活性がずれることで、本来であれば副交感神経が活性化する睡眠時においても交感神経が活性化してしまうことで、睡眠時間が遅くなり、眠くなるまでゲームなどをせざるおえなくなり、結果的に夜更かしをしてしまうのです。
また、休日や特別なイベントがある日だけは、サッと起き上がることができ、午前中から活動できるということも起立性調節障害の子どもには珍しくありません。
人の体は、強い緊張を感じると交感神経が主に強く働き、リラックスしている際には副交感神経が主に働きます。ですので、起立性調節障害の子どもも、特別なイベントを控え、緊張感が高まっているときは交感神経が優位の状態になりやすいので、天候などに関わらず、起床時の症状が起こりにくくなるのです。
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起立性調節障害は甘え・サボりではありません
上記のようなメカニズムにより起立性調節障害の子どもたちは色々な症状に悩まされていますが、周囲からは結果的に以下の様にみられてしまいます。
- 朝なかなか起き上がれず、午前中は調子が悪いにも関わらず、午後には調子が回復し、放課後には友達と遊ぶことができる
- 夜中まで寝ずにゲームなどをして夜更かしをしている
- 休日やイベントがある日には朝から活動できる
メカニズムを知らずに、これらの症状、状態だけを見ると、ただの「甘え」や「サボり」と思われてしまいがちです。
しかし、起立性調節障害の子どもは交感神経と副交感神経のバランス調整がうまくいかないことが原因でこれらの症状がみられるため、決して「甘え」や「サボり」と片付けることはできません。
関連記事:これは甘えなの?起立性調節障害の子どもが学校に行きたがらない場合の親の対応方法
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起立性調節障害は周囲の理解が必要
起立性調節障害という病気はあまり知られていないため、学校や周囲に正しく理解してもらえないと感じている起立性調節障害の子どもは少なくありません。
すぐに疲れてしまうため、体育の授業もなかなか参加ができない状況にある起立性調節障害の子どもが、周囲から「頑張ればできるんじゃないの」と言われたり、なかなか朝起き上がれず、昼から学校に行っていた起立性調節障害の子どもが、「学校をサボりたいから来てないだけじゃないの」と言われてしまうケースもあるようです。
この様な状況では、ストレスにより病気が悪化しやすく、症状が悪くなることでさらに学校に行けないという悪循環になってしまいます。
親御さんだけは、病気を正しく理解し、子どもが学校で置かれている状況に耳を傾け、どんな時も必ず味方でいてあげてください。
子どもと二人三脚で学校に働きかけ、少しずつ理解をしてもらいましょう。時には医師の意見書や診断書を学校に提出することが、理解を得る選択肢の一つになることもあります。主治医にもぜひ相談してみてください。
下記記事では「起立性調節障害の治し方・親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)