起立性調節障害とは

起立性調節障害の子どもはどうして遊びには行けるの?現役医師が解説

2022年4月20日

この記事の監修者

医師 錦惠那

医師 錦 惠那

内科一般・腎臓内科・透析科・産業医
保有資格:日本内科学会内科専門医・日本医師会認定産業医
2018年から起立性調節障害患者の診療を行い、累計30人以上の起立性調節障害患者を担当。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

起立性調節障害の子どもは、平日の朝はなかなか起き上がれず、午前中も体調が悪いため学校へ行けない一方で、放課後や休日には元気に過ごせることがあります。

午後になると友達と遊べたり、楽しみにしていた予定がある日は朝から出かけられたりすると、「本当に病気なのだろうか」「学校を休みたいだけではないか」と疑問を感じる保護者もいるでしょう。

起立性調節障害では、時間帯や天候、その日の体調、活動内容などによって、症状の強さが変わることがあります。午後や休日に活動できるからといって、朝の症状が本人の甘えやサボりとは限りません。

本記事では、起立性調節障害の子どもが放課後や休日には遊びに行ける理由や、周囲が意識したい接し方について解説します。

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害の子どもはどうして遊びには行けるの?

起立性調節障害は、立ち上がったときの血圧や心拍数などを調節する自律神経の働きに不調が生じ、朝起きられない、立ちくらみ、頭痛、倦怠感などが現れる病気です。

朝から午前中に症状が強く、午後になると比較的体調がよくなる人もいます。そのため、午前中は学校へ行けなかった子どもが、放課後には友達と遊べることがあります。

ただし、午後に動けることは、朝の症状がなかったという意味ではありません。時間帯によって症状が変化することも、起立性調節障害でみられる特徴の一つです。

また、休日や楽しみにしていたイベントの日に、普段より起きやすいこともあります。睡眠時間や予定の開始時刻、心理的な緊張や期待、その日の体調など、複数の条件が重なることで活動できる場合があるためです。

一度起きられたからといって、本人が毎日同じように起きられるとは限りません。「予定がある日は起きられるのだから、学校の日も起きられるはず」と決めつけず、その日の症状を確認することが大切です。

一方で、夜になると比較的元気になり、ゲームやスマートフォンを長時間使用する子どももいます。眠れないために使っている場合もあれば、使用によって就寝時刻がさらに遅くなる場合もあるため、本人と話し合いながら使用時間や環境を整えましょう。

夜になると比較的元気になり、ゲームやスマートフォンの使用時間が長くなる子どももいます。一方的に禁止するのではなく、体調や睡眠への影響を確認しながら付き合い方を考えることが大切です。

起立性調節障害の子どもとゲーム・スマートフォンとの付き合い方については、下記の記事も参考にしてください。

【関連記事】起立性調節障害とは?
起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

起立性調節障害は甘え・サボりではありません

起立性調節障害の子どもには、次のような様子がみられることがあります。

・朝は起きられず学校へ行けないものの、午後には体調がよくなる
・夜になると元気になり、ゲームやスマートフォンを使っている
・休日や楽しみにしている予定の日には活動できる

こうした様子だけを見ると、「学校を休みたいだけではないか」「生活習慣の問題ではないか」と感じることもあるでしょう。

しかし、起立性調節障害では症状に時間帯や日による変動があります。午後や休日に活動できることだけを理由に、朝起きられないことを甘えやサボりと決めつけることはできません。

「遊びには行けるのに、なぜ学校には行けないの?」と責めるのではなく、「朝はどのような症状があった?」「学校で困っていることはない?」など、体調や気持ちを確認しましょう。

また、登校できない背景には、症状だけでなく、遅刻して教室へ入る不安や、学習の遅れ、人間関係などが関係している場合もあります。

学校へ行けない理由は、朝の体調不良だけでなく、学習面や人間関係などが重なっていることもあります。子どもが学校へ行きたがらないときの接し方については、下記の記事も参考にしてください。

起立性調節障害は周囲の理解が必要

起立性調節障害は、外見から症状が分かりにくく、時間帯によって元気に見えることもあるため、学校や友人から理解を得にくい場合があります。

体育の授業に参加できない子どもが「頑張ればできるのではないか」と言われたり、午後から登校する子どもが「学校をサボっているだけ」と誤解されたりすることもあります。

こうした言葉が続くと、子どもが登校することに不安を感じたり、自分を責めたりする可能性があります。まずは家庭で本人の話を聞き、どのような場面で困っているのかを確認しましょう。

そのうえで、担任や養護教諭などに症状の特徴を伝え、次のような対応を相談します。

  • 午後からの登校や短時間登校を認めてもらう
  • 体調が悪いときに保健室や別室で休めるようにする
  • 体育や学校行事への参加方法を調整する
  • 遅刻や欠席時の学習方法を相談する

必要に応じて、主治医に診断書や意見書について相談することも選択肢の一つです。保護者だけで対応を抱え込まず、医療機関や学校と連携しながら、子どもが過ごしやすい環境を整えていきましょう。

下記記事では「起立性調節障害の治し方・親御さんができること」をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

【参考】
田中大介 監修『起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本』 講談社
日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)

起立性調節障害(OD)改善ガイドブック

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